晒し台とナイフ凌辱-2
3
他の見物人たちと一緒に、パトリシアは「特製の椅子」でお茶を飲みながら、セラの活躍するナイフ凌辱ショーを見守っている。
この「椅子」というのが傑作で、捕獲されたローティーンのゲリラ少年二人である。レイプカルトの手下であるが、彼自身が道具や奴隷のようにされてきた被害者でもあったし(男色でも虐待されていたそうだ)、比較的に罪を重ねていなかったので命だけは助け、殺すのが見合わせられた。
素っ裸で手足を縛られて蹲り、その上の女たちがかわるがわるに尻を下ろしているのだった。
こんな場所だから、ゲリラの男たちが晒し台にいるのも二人の虜囚少年たちによく見えている。
その耳元ではラジカセで、文明破滅前の古い音楽をエンドレスで聴かせてやる。「ほら、あれを見てご覧、あれがあなたの未来」としんみり優しく歌った女性歌手(リカバー前のオリジナル曲)は、最期は国籍詐称とスパイ容疑で死刑になったそうだけれども、それも大昔のどうでもいい話だった。
今ここで大事なのは教育効果と本人たちの反省なのである。つまり「舐めた愚かな行動の罰は村人たちからあんなふうにリンチだよ」と。
そして「飴と鞭」。
パトリシアの左手は、さり気なく、蹲った少年の股間をまさぐっている。かつて自分を暴行して引き裂いたような肉の凶器でない、未成熟なペニスだった。男性からのトラウマを克服するセラピーや癒しでもある。
「こんなに可愛いのに、なんで大人になるとあんなふうになっちゃうのかな? 無理矢理されたら無茶苦茶痛いし、凄く嫌で泣いて死にたくなるんだからさ。君らはまだガキンチョなんだから反省して、あんな悪い大人になったら駄目。女の子には優しくしなきゃ。そうしたらあなたの家庭が持てて、子供も産んでくれるし世話してくれて幸せになれるから」
教え諭しつつ、手の中の少年の男性器が熱く硬くなり、ビクビクと悩ましい痙攣を伝えてくる。やはり身体でわからせるのが一番だろうか。まだ二十歳過ぎの若輩ながら、年上の「大人の女性」として「正しい価値観」を教えておかねば。
パトリシアは苦笑しながら、空いている反対の手で少年の頭を撫でる。その量感のある柔らかな大人の女のヒップで背中を押さえ込みつつ。
「無理矢理でするより、お互い好きになった女の子からして貰う方が、ずっと気持ちいいよ? いつかアンタが反省してイイ男になったら、私と寝てみる?」
冗談半分に言いながらも、願望そのものは嘘でない。
それに実際、そうやってゲリラや盗賊の手下から救い出された少年少女が村の戦力や労働力になるのはよくあることなのだ。
パトリシアの父親も、少年時代に元は軍閥愚連隊で生きるために下働きしていたのをスカウトされて投降し(この村の有力者が祖父と面識があったり、母と恋仲になったのも一因らしい)、以後に襲撃を何度も撃退して最期に盗賊の大軍から殺されるまで村を守ったのだ。
「どう? 出そう?」
「う、うん」
様子からわかる。もう今日は村の大人の女たちから慰みに何度もされているだろうに、まだ元気いっぱいに跳ね返っている。断末魔の痙攣の絶頂に脈打って、乏しい精液をポタポタと地面に漏らしてしまう。果てた少年の吐息は悩ましく、少しだけ苦しげだった。
パトリシアはくすくす笑って、優しく頭を撫でる。手はまだ局部をくすぐり続け。ちょっと背をかがめ耳元に口を寄せ「いい子ね。わかった?」と囁いてやった。
4
大歓声があがる。
ついにセラが、見事な横一線にゲリラ男の陰嚢を切り落としたのだ。
そそり立った陰茎は天を衝いて、明らかなオーガズムに律動していたが、白濁を撒き散らすことはない。発射する寸前のタイミングで、一太刀に「男の弾倉」を切り離されたから。苦痛と絶望に顔を歪めた男が「殺してくれ!」と泣きながら絶叫する。
地面にポトリと落ちた無残な落果は、餌付けしている半野犬(フリー契約の番犬?)の餌になった。きっとこれから、野犬どもの腹の中で、本人本体の肉や骨と混じりあう。糞になって、農産物に生まれ変わる自然の摂理の神秘が待っている。
「気持ちいい? 気持ちいいでしょ、パパあ! 妊娠しちゃう? 孕んじゃいそうでしょ? お腹の中がエッチにビクビクしてるの、ナイフで手に伝わってわかるよ? 地獄でファミリーによろしく! お幸せに。死ね! 死ね! 死ね!」
ナイフを突き立てて、腹部の奥の内蔵をかき混ぜながら、セラは目をギラギラ輝かせている。病的なファザコン根性が炸裂している。狂ったように斬りつける。
他のゲリラ男の二人も、別の女たちから何度も順番で切り刻まれ、最後には破れた腹から臭い臓物をぶちまけこぼして、犬とカラスの餌になる。残りの致命傷を負わなかった奴らは生きたままで野犬に襲われ、最後は力尽きて、セットされた絞首縄で膝を折ってぶら下がった。