それぞれの思惑-1
第壱八ノ章【それぞれの思惑】
お満の叔父、棚唐餅右衛門は屋敷の客間で来客を迎えていた。
「ようこそ、おいでいただきました」
客間に通された男とは、以前から付き合いがあり、その男の持ってくる儲け話で、お互いに勝者勝者の関係だった。
「棚唐殿、ほれ、借り物を返すぞ」
その男が上座に座るなり、手に持った紐をぐいっと引っ張った。
「あん…」
それに釣られるように、後ろに続いた全裸の女が、餅右衛門の前に引き出された。その紐は全裸の女の首に巻かれていたのだ。
「それはわざわざありがとうございます。新居に役立ったでしょうか?」
紐を受け取った餅右衛門が、にやにやしながら聞いた。
男は市中に数件の家作を持っており、今はそこを転々と移り住んでいた。なにかと困る事もあるかと、餅右衛門が気を効かせていたのだ。
「わはは、コレが起つのには役立ったぞ」
男は自分の股間を指差した。
「では、楽しめたということですな、ココを」
女を引き寄せた餅右衛門は、太ももを後ろから抱えて、女の足を開かせた。
「いやあん」
女は陰部を隠そうと手を伸ばしたが、男の視線を遮らないように気を付けた。
「ははは、拙者以上に楽しんだのは、お早世殿の方かの。のう、お早世殿」
男は笑いながらお早世の手をゆるりと払って、開かれた割れ目を眺めた。
「うふふ、たっぷり可愛がって貰いました。それを思い返せば、ほら、このようにおまんこがびちょびちょでございます。あ…ああぁ」
お早世は開かれた割れ目に指を這わせて、溢れた愛液をくちゅくちゅと撫で広げた。
「ははは、まだ淹れ足りぬようだの。これで辛抱するがよい」
男は、ぱっくりと開いたお早世の淫口に指を差し入れた。
「ああん」
お早世は嬉しそうに身を捩った。
「しかし、よいのか?自分の奥を、目の前でこのように弄られて」
「ははは、この女を1人で満足させる事はできませぬ。かと言って、不義を理由に離縁するには勿体ない技と名器」
餅右衛門もお早世の乳首を弄りながら答えた。
「正に正に」
それを堪能した男は頷いた。
「ならば道具として貸し出して、拙者はその間に違う女を楽しむ事にしているのです。そうすれば、益々淫乱な道具となったお早世を楽しめるというもの」
「ああん、今夜もこの道具で一杯楽しんでね」
お早世は餅右衛門にしなだれた。
「ははは、ホンにお早世殿は好き者よのう。目を離した隙に、それがしの奥も籠絡されたからのう」
世の目を忍ぶ男は、月の半分しか自分の妻が居る家には帰らない。その間の不便を思って、お早世を貸し出していたのだ。
「こ、これ、お早世、真か?」
まさかの事態に餅右衛門は驚いた。
「あい、お屋敷に伺い、奥方様のおまんこをいただきました。とても美味しゅうございました」
悪びれる事なく、それを思い返したお早世は、うっとりとした。
「こ、これはとんだご無礼をいたしました」
餅右衛門は慌てて頭を下げた。
「よいよい。お陰で3人遊戯を堪能できたしの。それに奥も余り外に出られぬ身、お早世殿との貝合わせにのめり込んでおる。それにお早世殿に伝授された喉奥の尺八で、それがしも奥の技で楽しめるようになったしの」
「それはようございました」
餅右衛門は安堵の表情を浮かべた。
「今日は呼ばれたから、ついでに返しにきたが、奥がもっと居て欲しいと駄々を捏ねておる。どうじゃ、今から我が家に来て4人で楽しまぬか。奥の拙い尺八を試して欲しいしの」
餅右衛門とお早世に感化された男は、自分の妻も、他人に抱かせたくなっていたのだ。
「ははあ、それは嬉しいお言葉。しかし、今宵は違った楽しみのためにお呼びしたのでございます」
「なに?それはどのようなものじゃ?」
すっかり餅右衛門の嗜好に染まっていた男は、身を乗り出して聞いた。
「お早世の妹はご存知でしょうか?」
「お敏殿の事かの。しかし、もう亡くなっておろう」
以前からお敏を狙っていた男は、残念そうな顔をした。