初夜 その1-1
黒島沙和。高知県に住むごく普通の女子高生である。
ただ、彼女の意識の中には、常にどす黒い妄想の渦が存在していた。
その妄想の中で彼女は、何人も人を殺していた。
そんな自分が許せず、何度も自殺を試みたが、叶わなかった。
家庭教師である松井に相談したところ、反社会性パーソナル障害の可能性があると言われ、将来サイコパスになるであろう自分を自覚した。
先生。私を助けてください。
沙和は、松井の目を見つめ、哀願した。
この時二人は、同じ思いに駆られていた。
愛し合えば、きっとこの衝動を消し去る事ができる。
二人は藁をもつかむ思いで、抱き合った。
松井は沙和の眼鏡を外し机の上に置いた。
目をつぶった沙和に、松井はそっと唇を重ねていった。
沙和は、初めての口づけに震えていた。
今まで兄のように慕ってきた松井とまさかこんなことになるとは夢にも思っていなかっただけに、沙和は戸惑っていた。
松井は、紗和の唇をあまがみしながらそっと舌を忍び込ませてきた。
唇をなぞっていた舌が、唇を割って侵入してきた。
しっかり閉じられていた歯がゆっくりほころび始めると、狭い隙間をこじ開けて、無遠慮に舌が忍び込み沙和の薄く小さな舌に絡みついてきた。
すべてが初めてのことである。でも沙和はすべて松井にゆだねていた。
Tシャツをたくし上げ腕から抜くと、恥ずかしそうに両手で胸を隠す。
ブラジャーを外しベッドの上に放り投げる。
上目使いで見る沙和を抱き上げベッドに横たえる。
硬めのスプリングのきいたマットの上に沙和を寝かせると、寄り添うようにとなりに滑り込み体を寄せ、もう一度優しくキスをした。ながいながぁいキスである。
ゆっくり唇を離すと、じっとと見つめ合った。
指を絡ませ、ぎゅっと握りあった。松井の唇は、目、鼻、耳。首、うなじ、鎖骨へ。
そこまで来ると指を離し、控えめに膨らんだ乳房にそっと手を当てた。
少しづつ力を入れる。両脇から寄せるように掴み少し乱暴に握ったりしてみた。
「ああぁ」紗和の口からため息が漏れる。
包み込むようにもみしだいていると中央にピンク色の乳輪に埋もれていた小さな蕾が申し訳程度に頭をもたげてきた。その小さな蕾をを指先でゆっくり転がすと、沙和の脳裏に稲妻が走った。親指と人差し指で転がすようにつまんでみたり、中指でそっとはじいたりしてみた。
沙和は、初めての感触を心地よく受け止めていた。
これで、悪しき衝動が消えてくれれば、うれしいのだが。
もてあそんでいた指の代わりに唇と舌が飛んできた。
唇で挟み込みながら舌先で蕾の先っぽを転がす。
沙和は、ざらついた舌の感触をうっとりと受け入れていた。
時折、唇で挟んだ蕾を引っ張ると、沙和のあたまもキュウっと引っ張られるようだった。舌と唇の攻撃の合間に、軽く歯を立てるのを感じ身を硬直させていると何度も甘噛みをしてきた。キュッきゅうとリズムを刻みながらそれは少しづつ強くなり、噛んでいる時間も長くなってきた。少しづつ強く長くなっていたので、痛みはそれほど感じられなかったが、時々痛点を刺激するような激しいかみしめに、痛みを感じた。痛みに耐えていると、不思議なもので、その痛みは、淡い痺れとなり、快感にかっていった。
痛いのではあるが、もっと強く噛んでほしいと思うようになってきた。
恥ずかしくて口には出せないのだが、無意識のうちに自分から胸を押し付けるようになっていた。
彼もそのしぐさを読み取って、少しづつ力を強めていった。
調子に乗った彼は、今までで一番の力で蕾をつぶしにかかってみた。沙和は痛いのをじっと耐えていた。ギュウギュウっとモデラートのようなリズムでつぶしていく。
沙和は痛みに耐えながらそれを受け入れていた。
それは突然沙和の頭の中で弾けた。痛みが頂点にたっしたとき一瞬真っ白な世界に閉じ込められたようだった。痛みが昇華して快感に変わったのである。
「もっと、もっと噛んで」沙和は心の中でそう叫んでいた。
松井も心得たもので、ゆっくりなリズムに時折店舗を乱し、ダブルクリックするようにしてみたり三連符を刻んでみたりしてバリエーションを加えてみた。沙和の左の乳首はもう十分にしこりとがっていた。お別れに舌でご挨拶をすると、今度は右に乳首に移って行った。
名残惜しむゆうに左の乳首を指先でこねながら、今度は右の乳首をくらえこんだ。
左の時とは違い、右の蕾には初めから歯をたてていった。
始めは優しくなめてくると思っていた沙和は、急なかみつきに心の準備ができておらず、息苦しくなっていた。
思いもよらぬ痛みに混乱していると、今度は優しく舌で円を描くようになめてきた、痛みにしびれていた蕾が甘い疼きに変わっていくのを感じていた。
しかしそれもつかの間また激しい嵐が沙和の小さな蕾を巻き起こる。ギュウギュッと何度も何度も、押しつぶしてくる。その間も左の乳首は、彼の指先のいたずらに翻弄されていた。
沙和は体が二つに分かれているのではないかと錯覚し始めていた。右の乳首は、痛みで狂いそうなのに、左乳房は甘い陶酔につつまれ、それが別々に感じられたり、シンクロしてごちゃごちゃになったり、もう思考回路が追いついていかなくなっていた。
松井は、両方の乳房を愛おしむように揉みしだいていた。まだ膨らみ切っていないだろう、控えではあるが柔らかい感触を楽しむように。
松井の慣れたしぐさは、沙和を夢中にさせた。
唇で挟み込むようにしたかと思えば、軽く甘噛みしてくる。
痛みとむずがゆさが交互に襲ってくる。
沙和は、期待と不安に押しつぶされそうになっていた。