第一章-7
「そういえば、アニキ。今日の服装似合ってるじゃん!」
「お、おう。ありがとな。」
俺は黒のパーカーとジーンズにリュックを背負っている。
「俺も服褒められたいよぉ〜。」
雅也はジーパンに白Tシャツにジャケットを着ていた。
「雅也君カッコイイー♡」
「えへへ、ありがとうございます!」
雅也は照れた様子で頭を掻く。
「お世辞でも嬉しいです!」
「あ、バレた?」
「この野郎……」
雅也とそんな会話をしているうちに駅のロータリーに着いた。
「雅也、こっちだ!」
「はいはい、わかりましたよ。」
俺たちは待ち合わせ場所の噴水に着いて周りを見渡す。
すでにヒカリちゃんと妹のアカリちゃんが到着していた。
「あ、翔太くーん!こっちだよー!」
ヒカリちゃんが俺達に気づき手を振っている。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「ううん!全然大丈夫だよ!」
それにしてもヒカリちゃん…学校で会ってる時は何とも思わなかったけど…私服を着るとめちゃくちゃ可愛いじゃないか!
ヒカリちゃんに見とれている俺を雅也が肘で突いてくる。
雅也の目に恐ろしい程の殺意を感じる……。
ヒカリちゃんの後ろに隠れるように立っていた妹さんのアカリちゃんが挨拶してくる。
「こんにちわ…はじめまして。ヒカリの妹のアカリと言います。よろしくお願いします。」
ペコッ 礼儀正しい子だな……。
「ああ、こちらこそ初めまして!俺は雅也の兄で、翔太だ!よろしくね!ほら、雅也も自己紹介しろよ?」
雅也はまるでゲジゲジでも見るかのような目つきでヒカリちゃんとアカリちゃんを見る。
「雅也です…どうも…」
「…………。」
「おい、雅也。お前、顔怖いぞ?もう少し愛想良くしろよ。」
「ふんっ!」プイッ 雅也はそっぽを向いてしまった。
「まぁ、いいや……。動物園まで電車で一駅だから、みんな切符買っといで。」
「はーい!」
全員分の切符を買い、改札を通る。
ホームに着くとちょうど電車が来たところだった。
「間に合ったー!」
「ギリギリセーフだな!」
「はい、これチケット。」
「サンキュー!じゃあ、行こうか。」
「俺座席アニキの隣がいいー。」
「はいはい……わかったから……」
俺たちは席に座って動物園のある駅までの時間を潰した。
『動物園前駅〜動物園前駅〜お降りの際はお忘れ物がございませんよう〜』
アナウンスが流れて扉が開く。