第一章-3
「おはよーさん。今日も元気そうだな。」
俺はクラスメイトに軽く挨拶をしながら席に向かう。
すると、後ろから肩を叩かれる。
「おっはよ!翔太くん!」
振り返るとそこにはショートカットのボーイッシュな雰囲気の女の子がいた。
彼女は俺の後の席の加賀ひかりちゃんだ。
「ああ、おはよう、ヒカリちゃん。」
「うん、おはよう!」
俺が挨拶を返すと、ニコッと笑う。
「今日も弟君学校まで来ちゃったの?大変だね〜」
「ほんとそれだよ……。なんであんなブラコンになったのかね……」
俺はため息混じりに答える。
「それはきっと小さい頃からずっと一緒にいるからじゃない?」
「そうかな〜」
「多分ね。私にも妹がいるから分かる気がするな。」
「へー、そうなんだ!どんな子?」
「今年中学に入ったばかりの妹なんだ。すごく可愛いんだよ!写真見る?」
「おお、見たいみたい!」
「じゃあ、はいこれ。」
スマホの写真フォルダを開いて見せてくれる。
そこに写っていた女の子は確かにとても可愛かった。
「かわいいじゃん!名前はなんていうの?」
俺は興奮気味に質問攻めにする。
「アカリっていう名前で中学1年生だよ。」
「そっか、アカリちゃんって言うのか!よろしく伝えといて!」
「分かった!実はアカリね…翔太君の弟の雅也君に恋してるみたいなんだよね……」
「え!?︎そうなの!?︎あのブラコンの弟に……?」
「そうらしいんだ…」
「まじか……」
「だからさ……」
「ん?」
「弟君って…あの…翔太君命であまり女の子に興味無いでしょ……。」
「あ、ああ、確かにそうです…よね。」
俺は別に悪いことしてないんだけど、妹思いのヒカリちゃんとポンコツの雅也に恋しちゃったヒカリちゃんの妹アカリちゃんに申し訳なく思ってしまう。
「そこで!私が協力しようと思ってるんだ!」
「そ、そうなんだ?」
「それでさ、その……もし良かったらさ、私と今度の日曜日動物園に遊びに行かない?私はアカリを連れてくるから翔太君は雅也君を誘ってよ!どう?」
「うーん…俺は別に構わないけど……。でも、いいのかい?せっかくの休みの日に俺なんかと遊んでて。それに俺が居ると雅也ポンコツになるから絶対上手くいかないと思うし。」
「大丈夫!なんとかなるよ!それより約束忘れちゃダメだよ!」
「わ、わかった。」
「よし!これで決まりね!楽しみにしてるから!それじゃ日曜日絶対よ!」
そういうと、ヒカリは教室から出ていった。
はぁ〜本当に俺で良いのだろうか……。
俺は深いため息をつく。