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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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母として、友として許す!-1

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「うーん、いい「絵」が撮れたわー」

 後日にアヤの書斎部屋もとい私室で見せられたのは、玲とサエ自身の「絵」だった。
 どうやら彼女はあの日、家のアチコチに目星をつけてコッソリと監視カメラを仕掛けていたものらしい。この女の知能の高さと抜け目のなさは侮れない。

「我が子ながら、随分具合良く育ったみたいじゃない。図体もアレも、でも頭の中はまだまだ子供だけど。だけどサエさんのご指導のお陰で、ちゃーんと筆下しして男になれたわけね、私も母として感無量。いい声出してるし、けっこう良かったでしょ?」

 画面の中ではサエが官能に悶える女の顔で悦の音色を零している。

「もう、アヤちゃんったら!」

 顔を赤らめて湯気を出すサエに、それでもアヤはディスプレイを操作しながらニヤニヤとした親しげな笑顔を輝き溢れさせてからかう。

「こんなの見てるとこっちまで変な気持ちになってきて、とうとう指遊びなんかしちゃったわよ。そんでメチャ感じた。寂しいような、悔しいような、嬉しくて満足みたいな変な気分で、バカみたいに感度良くなってて自分でも驚いたくらい」

「ほんとに、良かったの?」

「うん、すごく。自分でしながら十回くらいイッたかも。最後、ちょっと眩暈したわ」

 どこか天然の調子で底意なく返答する親友に、サエは少しすまなさそうにした。
 彼女の懸念とするところは別にある。

「そうじゃなくて。本当に私なんかが」

「今更、それを言うの? いつぞやは「親子丼」になったって言ってたのに?」

 アヤは意味ありげな言葉を口にする。
 どうやら今回の件では、二人の女にしかわからない「秘密の事情」があるのだろう。
 指摘されたサエはやや照れたような顔になる。

「それはそうだけど、だけどほら、私ばっかり。アヤだって」

「私が?」

 アヤは驚いた猫のように目を丸くした。
 もう三十歳代も後半だというのに、彼女は心を許した相手には無邪気なところがある。
 そして既に年増になっているサエが息子の玲の童貞を奪ったことだけでなく、アヤ自身が相姦願望を抱いていたのを横取りしてしまったのではないかとでも、思いやって気にかけているらしい。
 するとアヤは手をヒラヒラと振って、ゲラゲラお腹を抱えるようにその疑惑を一蹴した。

「ない、ない! 流石にありえないって! だってアイツは私の「息子」なんだし、リクお兄ちゃんとはゼンゼン別物よ! だって、ほら、リク兄は兄妹でも母親が違ったし、ちっさな子供の頃とかは別の場所で育ってたから。ほら、たまに従兄弟とデキちゃう子とかいるでしょ、それと同じことよ」

 たしかに玲の父親は、このアヤの亡くなった異母兄なのだ。
 彼はサエの最初の、そして唯一の深い仲だった男性でもある。
 そしてアヤはちょっと考えるように目線を天井に向けて続ける。

「だけどさ、アイツ(玲)はハナッからそういう対象じゃないのよねー。女としてときめくとか執着するとかじゃなくって、あくまで「我が子」って感じで、最初から百パーセント自分の一部みたいなもんだし。
 そりゃ、お兄ちゃんとは同じ「愛してる」って言葉は同じでも、愛情の中身の性質がチョイ違うんだわ。ってゆーか、十ヶ月もお腹にいたんだし、とっくにフィストファックどころか全身全部を一年近く子宮ファックしてやったようなもんなんだから、いまさらチンコだけ入れ戻してどうとか」

 とり澄ましているくせに、気を許している相手には平気でえげつない下ネタを辞さない。
 おまけにいざとなれば攻勢を躊躇わない。
 これこそアヤという女の根本の性格だった。芯は恐ろしい「隠れ女傑」気質である。息子の玲が気と芯は強いくせに、どこかデリケートで優しい性格なのは、その反照なのかもしれない。女傑の息子はかえって繊細に育つことが多い、などという見方もあるようだが。


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