入院暮らしの莉亜-2
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お湯の浴槽で身体を洗われるのは心地良い。
それもこの理学療法士の三沢サエさんは「巧の技」なのだ。
年頃も近いせいなのか、友人のように話が出来るのが嬉しく、事実によく個人的にも友人として病室に遊びに(?)来てくれる。
彼女はまだ若い二十代の頭で、福祉関係とリハビリ部門を兼任しているのだが、同じ系列病院(お互いに場所は近い)の看護婦さんの負担軽減の意味もあって、介護補助やらこんな入浴サービスもしてくれたりするのだそうだ。
本当は一人で入れなくもないのだが、何かあったときの用心もある。
それに莉亜は寝ている時間も長くて体が凝って鈍る分を解消するために、体操の手ほどきやらマッサージをしてくれるのだ。最初はお医者さんから「心身のケア」を頼まれたというだけでなく、サエ自身が莉亜を気に入って、ほぼボランティアで相手をしてくれているという事情がある。
入浴前にベッドでのマッサージタイムは、たぶん二人のお楽しみだった。
利用時間に限りがあるお風呂場を延々と占領するわけにはいかないだろう。
だからこうして先に発散しておくのが常なのである。
「う、んっ」
優しい手使いで背中を撫でられながら、莉亜は呼び覚まされる官能に声が漏れてしまう。
やがてそれはホッソリした腰から肉の薄いお尻、うら白い内腿にまで愛撫してくる。
痩せた肩を抱いて抱き起こし、背中を抱くようにして、反対の手が足の谷に伸びる。
「んっ」
莉亜はパンツを脱いでいて、華奢で軽やかなお尻の下にはバスタオルが敷かれている。
巧みな指が花園の繁みを探ると、そこはとっくに湿って僅かなぬめりを帯びていた。
「ここ、固くなってるわね?」
「んん」
姫小豆をクリクリと刺激され、莉亜はシーツを握り締めた。小さな円を描くように鞘皮を剥かれ、チリチリする繊細なマッサージが襲う。
「サエさん、気持ちいい」
「良かった。うふふっ」
サエは嬉しげな笑みを輝くように零す。
いつも健康的で魅力的だが、こんなときは一等にすごく優しい表情だと莉亜は思う。
莉亜の悩ましく開かされた膝の間、わななく内腿の付け根に、すべらかな小動物のようなモゾモゾが蠢いている。魔法使いのようなサエの指が花芯に戯れ触れ、反復する動きでチリチリと甘い電気が滲み出すようだった。
「はぁぁ」
吐息が甘めくのは心地良いからだ。
さながらサエは繊細な楽器でも弾くようにくすぐってくる。楽しげで優しく、逐一に理に叶っているようだった(そのことも莉亜には嬉しく安心感を与えてくれる)。こうして新しい年下の友人、莉亜を愛撫するのに慣れて習熟するほどに、その手腕は日々に洗練されていくかのようだった。
「きちゃいそ、です」
気恥ずかしげに頬を赤らめてヒソッと告白すると、サエは微笑んで彼女のサーモンピンク、姫豆の麓の膣前庭のぬかるみをやんわりと突っつく。まるで小鳥に啄ばまれるようで、吃驚したように花園が膨らみ起伏する。
「ううぅ、んっ」
「楽にして」
耳元で囁くサエは上手。あまり激しく負担をかけず、ピンポイントで昂ぶらせてくる。
「はああぁぁ」
深い官能に喘ぐ溜め息だけでなく下腹の奥から熱い感覚が流れ出すようだった。
少し白く濁った本気の蜜液が流れ吐き出されて、サエの愛撫する手に受け止められる。
「イッちゃいました、エヘっ」
莉亜はサエの顔を見て、照れるような笑顔を浮かべた。
その顔の上から降って来た唇が唇が塞ぎ、吐息を混じらせながら、包み込む後戯のような愛撫が続く。けれどももう一度高みに上らせられることを莉亜は知っている。サエは負担をかけすぎないように慎重に気を使いながらも、それでもお気に入りの友人への女体愛撫には余念がない。だから莉亜は期待と安堵のままに身を委ねる。
後ろから身体に廻されたサエの手がシャツの上から乳房をそっとマッサージしてくる感覚にも、なんだかくすぐったいような甘美感があった。刺激と興奮で固くなった乳首が鋭敏になっていて擦れると摩擦の快感が小さな火のように瞬く。
「ん、ちゅ」
そうこうする間にも女同士のキスは濃密になって舌と舌が熱く触れ合った。
生々しくも繊細な愛撫の攻撃に炙られて、脚の間では解けた姫肉が疼くようだ。
「んん」
莉亜は忘我の境で薄目を開け、サエの目を見る。見詰め合う瞳は優しくふしだらに、そして悪戯っぽく輝いていた。火照った秘唇の間の急所では悦楽の燻りが増してきて、クレヴァスから後ろの孔全体までがネットリと濡れてしまう。
(ああ、蕩けちゃう)
頭がボオっとして、浮遊するような切ない心もとなさが湧き上がる。背中を抱き支えられるサエの手と身体は柔らかで、まるで天使に抱かれて雲の上を漂うようだった。
だんだんに手の動きが激しくなり、パンッと弾けさせようとする。まるで急降下するエレベーターのように莉亜はドキドキしてしまう。
「んあっ」
ついに小声で悲鳴を漏らしながら、オーガズムの痙攣がサエの掌の中で始まってしまう。
(ああ、全部伝わっちゃってるんだ)
触り包まれながら莉亜は幸福な降参の心持ちで背中を押しつける。胎内のピクピクは面の姫貝にも泡を吹かせ、そこはサエのヒトデのような優しい手で捕食されている。
サエさんは彼氏の亡くなった妹さんに似たようなことをされて開発されたそうで、それでこんな趣味に目覚めたのだという。あるいはその義妹の思い出を莉亜に重ねているのかもしれなかった。
通常なら院内でこんなことをすれば少し問題になるのかもしれなかったが、これも暗黙の合意の上。
担当の女医さんも薄々以上は知っていて黙認しているのは、患者の莉亜のストレス解消と生命力活性化・女性ホルモン分泌が促進するなら多少は構わないと考えているらしかった。