謎のオヤジ-1
僕は某純。冬休みの近い週末に、商店街の向こうの川ぞいに灯されてるイルミネーションを見にいった。
目的はひとつ、オンナだ。
そこを訪れてるたくさんのオンナたちのなかに、油断とスキを見せたオンナがいたら、強姦してやろうと思ってた。
年齢、容貌は問わない。とにかく誰か強姦して、童貞でないカラダになりたかった。
僕だってc学生の三年間、性行為がどんなものであるか知ったあとに、近づいてきた女の子がいなかったワケじゃない。
でも、僕はダメだった。女の子を遠ざけてしまった。
僕はチンチンが小さいからだ。
硬くなっても、名刺のカゲにおさまる程度でしかない僕のチンチン。
おまけに、チンチンを飾る毛さえほとんど生えていない。
向こうから「付き合ってください」なんて言ってきた女の子でも、このチンチン見たら幻滅だろう。
向こうはたぶんオトコはみんな、ネットで見るようなチンチンを持ってると思ってるだろうから。
僕のチンチンじゃ性の喜びは得られない。
それで他のオトコのご立派なチンチンに奪われてしまうくらいなら、女の子が無いほうがいい。
だけどやっぱり童貞は手ばなしておきたいんだ……
それでひとの集まりそうな宵のイベントには必ず足を向けて、強姦のチャンスを狙ってる。
でもオンナはみんな油断とスキどころか、お供のオトコや仲間のオンナたちとよろしくやっていて、手の出しようがないんだ。
今日も同じことだ。あちらにもこちらにも、イルミネーションに浮かぶオンナたちの楽しそうな笑顔見て、僕はナニやってるんだ。
……と、そんな僕の後ろから、
「『ひっかけ』どころではなさそうやな。」と声がした。
ふりかえると、僕より少し背の高いオヤジが立っていた。
オヤジはツルツルの丸坊主で、夜なのにサングラスかけてる。上に髪がないぶん、やや長めの口ひげとアゴひげをたくわえていた。
そして「どこの国境守備兵だ」と思わせるガッチリした長いコートを着ていた。
「キミみたいな……」オヤジは僕を押しながら歩きはじめた。「オトコのコをおびやかすマネはせえへんから、ちょっと来たってくれや。」
オヤジに押されて僕はイルミネーションの通りから離れ、営業時間を過ぎてひっそりしてる商店街に入っていった。