ね、あのコのあね-1
りどチャンは、プロの仙女(フェアリー)だ。
可憐で、純真で、みんなのココロをすぐとらえてしまう。
そんなりどチャンを、モノごころついたときからご近所の仲良しとして、そして(たびたび)同級生として私のそばに寄せてくれた運命のめぐり合わせを、私は宇宙に感謝してる。
りどチャンの仙女ぶりは、学年によっていろいろだ。
k校生になってからは、たとえばクラスの子が
「今の授業、半分寝てしまってた……」とか
「あの先生、何言ってたのかわからなかった……」とか言ったとき、りどチャンは
「なんか、こんな感じのこと言ってたよ。」と黒板に向かって説明を始める。
これが……教師よりわかりやすくて、説明が終わるとみんなそろってりどチャンを崇めるんだ。
(そのわりに、りどチャンの成績はそれほど良くない。)
そんなりどチャンには、間近に敵がいる。
14歳年の離れた、実のお姉さんだ。
私がりどチャンを知ったころには、もう立派な女のひとだった。
私とりどチャンは、私ん家や外で遊んだことはない。
必ずマンションの、りどチャンのお家で遊ぶことになっている。
りどチャンに、自分の部屋はない。
リビングの一部が「りどチャンゾーン」になっていて、そこはお姉さんが家にいる時でないと足を踏み入れられない。
そしてお姉さんは私たちが遊んでるそばで、何かデスクワークをしながら
「りど、そんなマンガの話するんじゃないの。」
「りど、そんな声出して笑うんじゃないの。」
と、りどチャンにやたらダメ出ししてくる。
りどチャンは笑顔で「はーい」と言うけど、私はビクッとしてしまう。
それはりどチャンに話をふった、私に対するダメ出しだと思うから。
私はこんなお姉さんに慣れてはいるけど、他の子はこのキツイお姉さんにやられて、二度と遊びに行かなくなる。
「りどチャンをあの悪姉から解放しなくては!」……それがりどチャンを好きな、私たちの合言葉だ。