太陽と月〜旅立ち〜-1
ここは月の民の住む村リシティアの近くにあるマナの集う森その森の奥地である青年が笛を吹いていたそこへ少女がやって来た。
「やっぱりここに居たヴァン兄」
何を隠そう笛を吹いていた青年こそがヴァンであった。ヴァンは少年の状態で神に造られたため生きていく為必要な記憶意外を持たずにリシティア近くに倒れていたのを村長のルアウに拾われ育ったのだ。そして、この少女はルアウの娘でヴァンのことを兄として慕っていた。
「ローラか」
「また弔いの曲を奏でてたの?」
「ああ魔物とはいえ元々普通の動物だったんだからな。それより何のようだ?」
「うん、また調律の依頼入ってるよ。」
(調律とは、調律師の行う仕事である。
そして、調律師とはこの世界を生成するマナを調節する職業である。
調節の仕方だが、異常発生したマナを動物が吸収し魔物となったのを倒す事で調節される。)
「内容は?」
「トスクさんからコボルト退治の依頼だよ。」
「わかった明日出発する。」
「ねぇいつになったら私も調律の仕事に連れてってくれるの?」
「何だよまだ諦めてなかったのか駄目だ。」
「何でよ連れてってくれてもいいじゃんよ〜」そう言うとローラは、泣き出してしまった。こうなるともう誰も止められない。
「あぁもう、わかった連れてってやるからもう泣くな。」ヴァンがそう言うと
「ホントに!」と言って泣きやんだ…と言うよりもそもそも泣いてすらいなかった。
「はぁ、ただし親父っさんについてきていいか聞いて親父っさんがついてきていいっていったらだぞ。」
そう言ってヴァン達は、家路についた。不意にローラが話しかけてきた。
「ねぇヴァン兄」
「何だ?」
「いつも不思議に思ってたんだけどさ何でお父さんの事を、親父っさんて言うの?」
「『何で?』って聞くほどのことじゃないだろ」
「ねぇ〜教えてよ〜」
「また今度な」とヴァンは、ローラの頭にポンと手をおいて髪をクシャクシャと撫でながら笑ったら頬を膨らませて
「もう聞かないからいいもん」と怒ってしまった。
「そう拗ねるなって」
などと戯れていると家についた。
「ただいま〜」
「ただいま親父っさん」
「お帰りローラ、ヴァン」
この人がローラの父ルアウである
「ねぇお父さん話があるんだけど」
「何だ」
「あのね〜…」
「あぁもう焦れったいローラが俺の仕事について来たいって言ってんだよ」
「お前は、良いのか?」
「別に〜俺は親父っさんが良いんだったら良いよ」
「ならお前も私の娘だ足手まといになる様なことそうそうないだろ行ってきなさい」
「やった〜」
「じゃあ俺は明日の用意して寝るからお前も早く寝ろよ明日は早いから」
「食料はどうするの?」
「10日分で良いぞ」
「は〜い」
「じゃあお休み」
「お休み〜」
その夜ヴァンは夢を見た造られてから一度も見る事のなかった夢を…
ヴァンは何ひとつ無い真っ白な空間を歩いていた永遠と続く道を
「ここはどこだ?」
「ここはお前が進んできた道」
何処からか男の声が聞こえてきた
「誰だ!何処にいる」
ヴァンは辺りを見回すが何処にも生きている者の気配が無かった