前編(2021/10/03)-9
「それじゃあ、トオルくん、
始めましょう。
えっと・・・、
男性器の構造から確認していくわよ。
下の方から・・・、
まず、ここね。」
梨奈はやや緊張した面持ちで、
テキストのイラストをトオルに指し示した。
「ここの部分は陰嚢よ。
嚢って、難しい漢字だけど、
意味は袋ってことなの。
中に入っているのは、睾丸。
睾丸は・・・知ってるわよね?」
トオルがこくんと頷く。
「そうよね。
知ってるわよね。
念の為、確認しておきましょう。
トオルくんは、自分で触ったことある?
・・・って、
触ったことが無いわけないか。」
梨奈は自分で言っておかしくなってしまい、
くすくす笑い出してしまった。
「先生、
触ったことが無い男子って、
いないと思いますよ。
普段はあまり触らないですけど。」
トオルも梨奈の様子に釣られて、笑い出す。
一気に場の空気が和んだ。
「そうよね。
自分の体だもんね。
私ったら、何を聞いてるのかしら。」
梨奈は深呼吸をしてから、
「ふーっ」と息を吐き出した。
「じゃ、続けよっか。
私とトオルくんだけなんだし、
このままリラックスした感じで進めましょうね。」
梨奈が明るく話す。
「はい、ありがとうございます。
僕もその方が嬉しいです。」
トオルも明るく応じた。
* * *