明る朝-2
ここまで育ってしまった想いをなんと呼べばいいのか、俺にもわからない。
さんざんに組み敷き、ナカを味わい、汚した後、美夜の身体を洗い清めるのもまた、抱くのとは別の満足感を俺に与えた。
壊したいような衝動も、守り世話したい気持ちも等しく、俺の中ではホンモノだった。
シャワーを使っている間、美夜はひっきりなしにしゃくりあげ、触るなといっては俺の手を払い、そのくせ立っていられなくて、結局俺に終始よりかかっていた。
ナカを洗おうとすると引っ掻かれ、やめてと叫ばれ、赤く染まった顔が怒りに歪んだ。
「立ってられないんだから、大人しく任せとけ」
美夜のナカから自分の精液を掻き出すのは、不思議な気持ちだった。
つながっていたときは、美夜の中で果てるのがあんなに快感で、ナカからあふれてくるのにも興奮したのに、今はそれが排水溝に流れていくことが大事で、俺の手で美夜が美夜に戻っていくのが大事。
パジャマを着た美夜は、ようやく落ち着いたのだろう、ソファに身を預けて、こちらを見た。
「なんで?」
彼女は一言俺に問うた。
「なんで、って?」
「なんでこんなことしたの」
「したかったから」
「……私、蓮のことはいいライバルだと思ってたけど、別に男の人として好きだったわけじゃない。
それは蓮も同じでしょ?
私は蓮の恋愛対象じゃない。
恋人にしたいと思ったら、蓮はこんなことする前にそう言うでしょ?
そのくらいはわかる。もう同僚としてはそれなりの付き合いだもの。
なんで、私を無理矢理抱いたの」
彼女の冷静さに舌を巻く。
彼女は、苦もなく状況や感情を正しい言葉に置き換える。
何が今まで自分が知っている事実と違っていて、どの部分が自分の違和感なのか、ちゃんとわかるのだ。
俺には、わからない。
「わからない。俺らしくないかどうかも含めて、俺にはわからない。
ただ、俺は自分がしたいことをしただけだよ」
もやもやとしているのに、その曖昧模糊とした感情すら、どうでもいい気がした。
俺がしたいことをした。
それだけわかっていれば十分だと思った。
美夜はため息をついた。
「帰る」
自分の服を持って、洗面台へと消えていく。
「私はあなたのおもちゃじゃない」
と、言い捨てて。
そんなこと、わかっている。
けれど、それをきちんと否定できる言葉を、俺は持たない。