最初の夜-2
「やだぁ…」
勢いよく放たれた精が、みっちりとナカを満たしていく。
熱い、どろりとした液体が体内を侵食していく感覚は、経験したことのないいやらしさだった。
中出しされた。
全身から力が抜け、はぁはぁと荒い息をつく。
揺さぶられて何も考えられなかった時間が過ぎると、悔しくて、感じてしまった自分が情けなくて、泣きたくなる。
目に涙が溜まっているのがわかった。
敗北感のようなものが心を凍えさせるのに、身体は意に反して快感の余韻に打ち震え、まだナカに入ったままの彼の分身をきゅうきゅうと締め付けてしまう。
自分の身体なのに、思い通りにならない。どうして。
掴んでいた脚を放し、蓮の身体がゆっくりと覆い被さって来る。
突き飛ばしたいのに、力が入らない。
あ、と思う間に蓮の唇が素早く重ねられ、舌がねじ込まれる。
つうっと目の端から涙がこぼれて、頬にあてがわれた蓮の手に拭われた。そのまま顎を掴まれ、さまざまな角度から口内を侵される。
イッたばかりだからか、歯の裏をなぞられただけで身体が震え、きゅっとナカが反応するのがわかった。
「んんっ、んむ」
もう片方の手が、無防備だった胸のふくらみをなぞる。
はっとなって肩を押し返そうとしたときには遅かった。
きゅっと胸の飾りをつままれ、ずん、と快感が湧き出る。
唇が離れ、そのまま首筋、耳へと移動する。
あちこち口づけられ、同時に両手が私の上半身を這い回りはじめる。
「あっ、ん! ふぁ」
先ほどまでの激しさが嘘のように、その手は細やかに私を高めていく。反応したくないのに、身体が言うことをきかない。
揉まれて形を変えられ、飾りを弄ばれ、胸の中心でそれが屹立したころ、ナカに入ったままの蓮のモノが、硬さを取り戻し、むくりと頭をもたげるのを感じた。
「あ、だめ…」
思わず声が漏れたけれど、もはやそれが静止になっていないことを、自分でも自覚していた。
ぐぷ、ぐじゅ、じゅぷ…
ゆっくりとナカを開くように掻き回される。
蓮のモノのカタチがはっきりとわかり、それほど深くモノを受け入れてしまっている羞恥で泣きそうになる。
胸への愛撫もやまず、休みなく与えられる刺激に頭がぼんやりとして、蕩けてしまったようだった。
混ざり合った体液が卑猥な音を立てて、ボタボタとシーツに落ちる。
「や、や、あん、やぁ…」
「どこもかしこもとろとろだ。気持ちいいだろ? 美夜」
腰の動きを止めて、蓮が耳元で囁く。
「そんなこと、ないっ」
認めたくない。こんな無理矢理犯されて、気持ちいいだなんて。
「こんな、無理矢理、されて、気持ちいいなんてッ、ん、あるわけ…」
ふっ、と蓮の口角が上がる。
目が細められ、冷たい光を湛えたように見えた。
「そう」
ずるり、とモノが引き抜かれる。
「ひぅんッ」
思わず漏れてしまったはしたない声に、慌てて自分の口に手を当てる。
ずっぽりと入っていたモノが急になくなって、ナカが切なく収縮する。
自分の身体の疼きに、慌てて脚を閉じる。
蓮が身体を起こした。ナカから抜けてもなお、角度を保った屹立は、間接照明の元で、ぬらぬらと濡れ光っていた。
(あんなのが、今まで…)
逃げなければ。
正常な判断ができなくなっていた。
つい先程までの快感から我に返って、逃げなきゃ、という言葉が頭の中でリフレインする。上半身を起こし、男の身体の下から抜け出ようと身体を捻ったところで。
腰を掴まれた。
「いやあっ」
「もっと感じさせないと、美夜は満足してくれないみたいだね」
「や、いやぁぁ!」
うつ伏せにされ、腰を引き寄せられる。
掴んだシーツがマットレスから離れて、放射状の皺になる。
ずるずると引き寄せられる身体に、絶望感が襲って来た。
ぐっとお尻を割られ、熱の塊が後ろから入り口にあてがわれる。
何をされるかはっきりわかって、息を詰めた。
ずちゅんッ
「んンーッ」
悲しいかな、痛みは一欠片もなかった。
蓮のモノが一気に奥へ差し込まれ、あっけなく私の目の前に火花が散る。