「向こう側」第一話-4
「えっ!?マジで?俺の代わりにやってくれたの?アーちゃんはやればできる子だって俺信じてたよ」
『その呼び方はやめろ。わかったらさっさと戻ってこい。全員でお前の反省会をするつもりだからな』
ブツッ
バッジは会話が終わり一息ついてからスグルに話しかけた。
「あ〜…なんかわりぃな巻き込んじまったみてぇで…まぁこんな時間にあんなところでうろつくなよな…うしっ!じゃあ俺がおまえの家まで送ってってやるよ。どこに住んでんの?」
スグルは今いるところが明らかに自分がいたところとは違うことに気づいていたため正直に言うことにした。
「えーと…俺の住んでるとこはおそらくあなたじゃわかんないと思うんですけど…」
「え?どういうこと?秘境にでも住んでんの?」
「いやだから……」
スグルは相手に伝わるかどうか不安だったができる限りわかりやすいように自分がいたところの説明をした。
要約するとここみたいに地面が光ってないだとか空は明るいだとかということだ。
スグルが話終えるとバッジは大声で笑い始めた。
「あっはっはっはは!お前おもしろい奴だな〜どこでならったそんなこと!『下の世界』から来たって嘘言ってもこんな御時世誰も信じちゃくれないぜ!」
バッジはまだ笑いがおさまらないようだ。スグルは自分が結構真面目に話しただけにこの異常なバカにされっぷりに不機嫌になった。
「あぁごめんなボウズそんな怒んなって、どうやら訳ありみたいだな。家出ってやつだろ?一晩ぐらいうちのアジトに泊めてやるよ」
頼るものが何もなかったスグルは仕方なく頷きバッジのあとについて行った。
バッジは入り組んだ裏路地をどんどん先に進んでいく。
スグルはそんなバッジの手に引っ張られて進んでいるためゆっくりと観光することはできなかった。
「…うしっ!着いたぞ」
バッジが動きを止めた。
スグルはアジトは一体どこだろうと見渡したが、この袋小路にそれらしき入口は見当たらない。
バッジはかがんで何かをいじっている。
「ちゃんとついてこいよ」
そう言うとバッジは姿を消した。
どうやらこのマンホールは通り抜けることができるらしい。
スグルもバッジの後を追ってマンホールの中に足を踏み入れた。