いらない気持ち-2
近藤美穂さんへ
こんな手紙を急にもらって驚いていることだろうと思います。
単刀直入に言うと僕は美穂さんが好きです。本当に好きです。
だけど僕は美穂さんと付き合ったりすることはできません、多分僕が美穂さんと付き合ったら僕の学校生活は辛いことになると思うからです。
僕は臆病者で身勝手な最低な男です、勝手にこんな告白をしてまだ返事ももらってないのに付き合えないなどと言って美穂さんの気持ちなんてまったく考えていません。
けど僕はそれを承知でこの手紙を書きます。もう美穂さんはムカついてこの手紙を破って捨ててるかもしれないし読む前に気味悪がって捨ててるかもしれません。
けど僕は書きます。
なんで美穂さんはもっとクラスに馴染んでくれなかったんですか?なんでそんなヘンテコな眼鏡をかけているですか?なんでいじめられちゃったんです?なんで………
僕はなんで?を繰り返し書いた。彼女の容姿や性格について…かなり中傷した内容になっただろうがそんなこと関係なかった!僕はたくさんのなんで?を書いた後ほとんど無意識に
なんで僕はこんなに弱いんですか?
と最後に書いた。その語尾が濡れて滲んでいる!僕はそこで始めて泣いていることに気付いた。
学校に向かう途中手紙をだした、手紙を書いた後それを出すか出さないかで悩んだが結局出すことにした。深い理由はない!ポストをみたら自然に鞄の中にある手紙に手がのびそのまま入れた。もちろん僕の名前はかかなかった…
僕の気持ちは少しはスッキリしたらしくその後自然にクラスの中でも結構可愛い子と付き合った、もちろん本心で好きになったから!
近藤美穂とはその後も話すことなくあの手紙がどうなかったか知らない!
あれから5年がたった僕は今は大学生。さすがに中学時代の可愛い彼女とは別れたが別に新しい彼女もできた。
今日は成人式を合わせた同窓会懐かしいヤツラにも会える…もしかしたら近藤美穂にも…僕は同窓会の会場に行き旧友達と酒をのみつまらない話しで笑いあった!
近藤美穂はどこにもいないように見えた。帰り際友達にさりげなく聞いてみたがどうやら来ていたらしいがスグに帰ったらしいとの話だった。僕はちょっと残念のような不思議な気持ちになったがまた友達との馬鹿話に戻った。
僕はそのまま2次会まで参加したあと帰宅した
部屋で着ていたもを脱ぎ一息ついて同窓会でもらった記念品を思い出し鞄を探った。
指が鞄の中に記念品以外の感触をとらえた。僕はそれを掴み取り出した、「手紙?」
水色の封筒が姿をあらわし表には自分宛てと書いてある。差出人の名前はなかった…
僕は封筒を開けた中からは同じ色の便箋が一枚でてきた。
便箋にはとても綺麗な字で短い言葉が書いてあるのが見える、僕は目の前が真っ暗になってしまうような感覚におせわれ思わず手紙を床に落としてしまった、なぜ彼女があの手紙の差出人を僕だと分かったのか?なぜ今更こんな手紙を渡してきたのか?そんなことは書いてなかった、ただそこには
苦しませてごめんなさい。
好きになってくれてありがとう
とだけ書いてあった。彼女が同窓会に来たのは多分この手紙を僕に渡すためなんだろとなんとなく思った。
けどそんなことどうでもいい、ただなんとなく僕は救われた気がした!そして彼女も救われたのかも知れない!
僕は手紙を封筒にしまい、机の上に置いた。早くしまわないとまた手紙が濡れてしまう…僕は手紙を書いたあの時みたいに涙を流しながら思った。
僕が彼女のどこに惹かれたのかそれは今でもわからない…ただひとつ今だったらこれだけは自信を持って言える僕は彼女が好きだった!!