心の中に残る人。-6
「その日、昼間にセクキャバの捜査に行って、ちょっとそう言う気分になっちゃって、つい…。俺、暫くあっちにいてマギーと毎晩してたから、こっちに帰って来て、どうも収まりつかなくて…。」
「それで浮気したとか理由にならないし。それは杉山君の理性が弱い証拠よ。完全に杉山君が悪い!」
「そうなんです…、そうなんですけどねぇ…」
項垂れながらグイグイビールを飲む杉山。
「ああ見えてマギーは頑固だし、そう簡単に嘘をつく子じゃないから、本当に好きな人が出来たのかもね。あーあ、逃した魚は大きいよねー。あんな特上の女の子、なかなかいないわよ?しかもハーフだし。杉山君が遊んだデリの子、マギー以上だったの??」
「いや、確かに可愛かったッスけど、マギーよりは…」
「でしょ?馬鹿だねー。我慢すりゃあ良かったのに。最悪、部屋に呼ぶのは避けなきゃね。」
「今考えればそうなんスけど、まだ仕事が終わらないって言ってたし、油断してました。まさか来るとは思わなかったから。」
「マギーだってサプライズで喜ばせるつもりて楽しみにしてたのに、蓋を開けたらベッドに違う女がいましたじゃあ辛いし悲しいよ。辛い思いしたのは杉山君以上なんだからね?分かってるの?」
「は、はい…」
ますます落ち込む杉山。しかしあまり落ち込ませても可哀想だし、今日は励ます名目での飲みだから、叱責するのはやめよう、そう思った。
「でもまぁ、そうなった以上、くよくよしないでまた新しい彼女見つけなきゃね!取り敢えず今日は死ぬまで飲め♪私も付き合うし!」
杏奈はグラスに残っていたビールを一気に飲み干した。
「ほら、杉山君も。」
ビールを注ぎ合う2人。段々顔が赤くなり、酔っ払って来た。
「あー、もうあのオッパイが揉めないなんてー!」
「お前の頭の中はオッパイだけか!♪」
「オッパイだけじゃないっす!あの締まりのいいオマ…」
「ダー!言わなくていいから!」
「ああ…、俺は全てを失った…」
「世の中の終わりじゃないんだからさー!他の子見つけなさい。失恋の1番の薬は新な恋よ♪」
「じゃあ杏奈さんはその薬、見つけられてないんですね…」
「ひ、ひどいっ!!せっかく励ましてんのに!でも確かにねぇ…、もう10年以上、薬を見つけてないかも…」
「杏奈さんの最後の恋愛、聞かせてくださいよー。」
「しょうがないなー。あれは私が…」
酔った勢いもあり、杏奈は最後の彼氏の話を杉山に話したのであった。