彼女に課せられた掟とはなにか-1
「じゃあ、バージンであることに免じて、今日はこれで終わりにしよう」
恐怖と羞恥が最高潮に達していた恵理子ははじめ、言っていることが呑み込めなかった。当然、このあとでいよいよ最悪の辱めが待っている。レイプされるものと絶望していたのだ。
「えっ!?」
恵理子は恐る恐る目を開け、沼口を見る。
「あ、あの……これ以上何も、しないんですか?」
少女はおずおずと尋ねた。声もからだも震えている。
「あーっはっはっはっ!」
沼口は思いっきり高笑いした。それがむしろ恵理子には気味が悪くも思えた。
「君を犯す? ここでそんなもったいないこと、するわけないじゃないか」
「え……」
「君ほどの美少女には、まだまだ清純なままでいてほしいんだから」
その口調は確信に満ちたものだった。
恵理子も少しは人心地がついたが、まだまだここで凌辱されるわけではないとは信じられない。なおも恐怖でからだが動かず、あられもなく広げられた両脚を閉じることすらできないでいる。
「あの、犯すとか言ってたのか……」
口にするのも憚られるような言葉も含め、恐る恐る訊いてみる。
「ははははは、君も純粋だなあ。そう言っておけば、君もおとなしく言うことを聞くからだよ。それに怯える姿も可愛いかったしね」
沼口はまたもや哄笑して言った。
あれは、本当に全部ただの脅しだったのか。恥じらい、恐怖する姿を可愛らしいと思って見ていただけなのか。
まだ信じきれはしないものの、それを聞いて恵理子はいくらかは落ち着きを取り戻した。沼口は続けた。
「君もまだ中学2年生、14歳だろう。女の子はこれからもどんどん変わっていく。今もめちゃめちゃ可愛いけど、もっと違った君の魅力を見てみたい。3年生になっても、高校生になっても、清純なままでね。だから、少なくとも君が少女でなくなるそのときまでは、処女は預けておいてやるよ」
いつかその日が来ることは告げられつつも、いま凌辱されるわけではないというだけで、彼女にはどれほど救いだったかわからない。
「いつまで……ということですか?」
恵理子は不安げに尋ねる。
「いつとは決めてない。まあ君の発育しだいってこともあるけど、まあ高校に入ってしばらくは見てみたいな」
あくまで猶予に過ぎないとは知りながらも、彼女はともかくも安堵の息をついた。少しずつ小さな乳房の下の動悸が収まっていく。ようやくからだも動かせるようになり、おもむろに両脚を閉じ合わせた。
「あの、ありがとうございます……」
つい恵理子はそう口にしてしまう。礼を言うような相手ではない。今までたいへんな辱めを与えてきた男なのだ。それは知りつつも、いま凌辱を免れただけでも言わずにはおれなかった。心中で救いを神に祈りさえした彼女からすれば、沼口自身が慈悲深い神のように思えたのかもしれない。