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モデルの舞台裏
【ロリ 官能小説】

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0)プロローグ-1

0)プロローグ

真っ黒の布… 3メートル四方ぐらいのものが床に敷かれている。

その前に数十人が横に拡がっている。
手にはカメラ。そして、全員が男性。

「本日は、シマ・エンタープライズ撮影会にお越し下さり、誠に有難うございます。それでは、早速、モデルの さきちゃん の登場です。 はい、さきちゃ〜ん、皆さん、お待ちかねですよ〜」
司会者の陽気な声がマイク越しに響くと、女の子が、少し前屈みになって、裾から歩み出てきた。

身長は145センチぐらい。真っ白なビキニの上下以外は何も身に付けていない。
心なしか腋を内側に締めて、両腕を前でより合わせている。上半身も少し前かがみ。
軟らかそうな裸足を少し内側に向けて、自信なさそうに歩を進めている。

肩までの、ふんわりした黒髪が、横向きの少女の表情を少し隠しているが、その間からのぞくおとなしそうな表情は、恥ずかしそうに赤らんでいる。

でも、ようやく布の上に立った時、男たちから わっ と拍手が起こった。
正面を向いた少女の表情は、少しびっくりして、しばらく戸惑っている。でも、拍手と熱気に押されて、気持ちは高まってくる。
そして、少しはにかみながら、深々と頭を下げた…

 ***

「目立たない子」「地味な子」…

早紀は周りからそう思われていたし、自分でもそう思っていた。
身長はクラスの女子の真ん中あたり。
授業中、先生に指されても、緊張して答えられない。問題が分かっていても、上手く声を出せない。

昼休み、教室の後ろのロッカー前にしゃがんでランドセルからノートを出していると、後ろから誰かに押されて、床に両手をついた。
驚いて振り返ると、クラスでも目立っている女子3人組。K−POPアイドルの話に夢中で、早紀に気が付かなかったらしい。

「あれ、何かに当たった…?」
「えー、でも、何も無いよ。空気にでも当たったかな」
「空気なら、空気読んで、避けてほしいよね」

目線は早紀を見ているのに、空気扱いされているから、返事をしてよいか分からない。
『空気を読めない』で黙っていると、

「あーあ、空気だから、ごめんなさい、も言えないんだ。あー、いたいいたい…」
3人は、わざと、きゃあきゃあと笑いながら歩いて行き、早紀は、本当に痛い手の平を黙ってさすっていた。
近くにいた子たちも、誰に遠慮をしているのか空気を読んで、やはり早紀を空気扱いしている。

別に、いじめにあっている訳では無いが、とにかく存在感が薄くて、こんな事が多い。
これは、クラスだけの話ではなくて、どこでも、同じだった。
登下校は、なるべくグループでするように、と言われているが、いつも、出発はグループでいるのに、いつの間にか一人になってしまう。
誰も早紀を気に掛けない事も理由だし、みんなの会話に入れなくて、何となく一人離れている自分にも原因がある。

家でも、そんな感じだった。
両親は、早紀が小さい頃に離婚して母一人子一人の家庭である。父親とは全然会っていないし、今では顔も思い出せない。
母親は夜の仕事が忙しく、朝、早紀が学校に行く時にはまだ寝ているから、早紀は自分でパンを焼いて食べる。学校から帰ってくると母親はもう仕事に出ていていない。台所のお鍋やフライパンの中に夕食が作られているのが救いではあるが、夜に一人で温めて食べるのはやはりさびしい。
次の日が学校が休みの金曜の夜なんかは、頑張って母親が帰ってくるのを待ったりするけれど、夜1時が過ぎる母親の帰宅を見る事は、眠くてめったにない。
たまに眠気に勝って母親を出迎えても、いつも疲れているみたいで、あまり話せなかった。

母親が何の仕事をしているのかは知らないけれど、夜のお仕事とかでよく聞くお酒の匂いはしていなくて、ふっと石鹸のようないい匂いがしているから、変な仕事じゃないと思っているけれど、もう41歳になる母親の健康は心配だった。
休日は、曜日はいろいろだけど週に1回ぐらい、平日ばかりで、ゆっくりと話をするのは難しい。月一ぐらいで、4日ぐらいの連休があるけれど、やはり遠慮してしまって、母親との距離感はいつも近づけない。
だから、家でも母親には全然頼る気持ちになれずに、無意識で存在感を消している生活だった。

土日は、母親の仕事が特に忙しいみたいで、朝8時ぐらいに家を出て行って、帰ってくるのはいつも通りの夜1時よりも後。
2階建てアパートの2階、2DKの一室に一人でいるのはさびしいし心細い。
だから、学校が休みの日は、母親を見送ると、自然と外に出て1日過ごす事が多かった。

 ***

今日は、久しぶりの母親の4か日間の休みの真ん中ぐらい。
早紀が学校から帰ると、母親が元気そうな顔で夕食を作っていた。

 …お母さんのこんな顔は久しぶりかも。

一緒に食べる夕食は、何となく楽しかった。
そして、食事が終わって、一緒にお茶を飲んでいると、母親が言った。
「早紀ちゃん、劇団とか興味ない?」


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