未完の恋-5-1
未完の恋-5
「ねぇねぇ委員長さぁ。
最近すっごい綺麗になったけど、どうしたの?教えてよ」
後ろの席の委員長が質問されてる。
「そうそう。私も気になってたんだ。
委員長がため息出るくらいに綺麗になっちゃって」
「絶対恋人できたと思った」
「それ、私も思ったー」
周りの子も気になっていたようだ。
「あっ、いや、私は…」
委員長が困ってる。
挙手!
「はいはいっ!それ私!
わたくし杏奈がっ、委員長にっ、コクりましたー」
「なんとっ!?」
「ええっ!?」
「マジかーっ!?」
みんなが瞠目して、委員長の顔を見る。
クラスのみんなの注目が委員長に集まる。
コク
委員長はうつむいて、小さくうなづく。
「えええーっ!?」
「わぁお」
「委員長が杏奈とぉー?分からんもんだねぇ」
クラス中が委員長を見てどよめいてる。
委員長は小さくなってうつむいたまま、
耳まで赤くなってる。
「杏奈は全っ、然変わらんね」
「ほっとけ!」
「しっかし。杏奈、スゲェな」
「あっ、確かに委員長を落とすのは難しいカモー」
「いやいや、至難の技でしょ」
「よくやった」
「でも、恋すると変わるって本当なんだね。
委員長すっごい美人になったもん」
「私も綺麗になりたいなぁ」
「いい人欲しぃー」
とりあえず、
話題は違う方向へ流れて行った。
委員長は前の席に身を乗り出して、私に囁く。
(井戸さん、助けてくれてありがとう)
(これでカミングアウトも済んだということで)
恋人が綺麗になったって言われるのは嬉しいね。