バニラプリン‐主編‐-6
ぐったりと倒れていて血まみれだ。
多分、車に撥ねられたのだろう。
そこを渡り切ったあたしはその屍の方にそっと目をやる。
「……」
今、自分でもよく分かる。あたしが如何に冷たい眼をしているか。如何に心が冷え切っているのか。
ひとつ確かなのは、あたしが今笑った事。鼻であしらうかのように。
この10日余りの間で自分はどこまで変わってしまったのか。
もはや中毒症状なのか?
既にあたしの人生は修復不可能なくらい大きく折れ曲がっていたのかもしれない。
光を失った猫の眼が少女の背中をじっと見据えていた。