バニラプリン‐主編‐-2
なのに…。
そしてこの後、他の友達に同じ質問をしたら先程と全く同じ事を言われた。
『相変わらずキレイだよ』と。
最初は気を遣ってくれているのかと思っていた。
でも、そうではないのだと解った。
普段は全く感じない視線が感じられる。それも一人や二人ではない。
あたしが歩いているだけで四方八方から突き刺さるくらいの視線が矢のように飛んでくる。
(みんな、あたしを見てる…)
その日の授業中は落ち着かなかった。
クラスの男子達が頻繁にこちらを見てきたからだ。
結局、3限目の授業中に耐えられなくなり、保健室に逃げた。
別にチラチラと見られるのが嫌だった訳ではない。
ただ、昨日までとはあまりにも違いすぎるこの状況に頭がついていけない。
保健室の真っ白なベッドに横たわり、あたしは冷静になろうとする。
(こういう事って、あたしがキレイになった証拠だよね…。そうだよ。今の自分は?綺麗?なんだ。)
今日からの自分はもはや昨日までの自分ではない、という事をようやく自覚したあたしは、何か今までに出来なかった事がやれそうな気がした。
例えば…
憧れの黒河クンにアタックする…とか。
噂によると彼は容姿をかなり重視しているようだ。
ということは…これであたしにもチャンスが巡ってきたということか。
だが、あたしは?アレ?をまだ1日分しか飲んでいない。
あと9日分残っているのだ。
1日でこんなに変わるのならあと残り9日で一体どれだけ美しくなれるのだろうか。
やはり黒河クンへの告白は?アレ?を全て飲み切ってからにする事にした。
やはり彼に気に入ってもらうには…いや、彼をモノにするには限界までキレイになるしか無い。出来うる限り…。
そう心に誓ってあたしは保健室をあとにして教室に戻った。
その後も授業中・休み時間に関わらずチクチクするくらい多くの視線を感じたが、今度は全然平気だった。
美女とはこういうものなのだと思っていたから。