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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈聖地篇〉-2

カルサは臆する事無く一歩踏み出し、片膝をつきしゃがんだ。

「御剣が一人、雷神カルサ・トルナス。急な来訪にて失礼いたします。以後お見知りおきを。」

カルサの態度に守麗王は微笑んだ。リュナも続き、両膝をついてお辞儀をする。

「申し遅れました。御剣が一人、風神リュナ・ウィルサにございます。お目にかかれて光栄です、王。」

二人に微笑み、守麗王は目の前にしゃがんだ。二人とも顔を下げたまま気配だけを感じる。

「顔を上げなさい。」

その声に二人はゆっくりと顔を上げた。優しい表情の守麗王が目の前にいる。

「長旅ご苦労さまでした。ようこそ、御剣の総本山へ。おかえりなさい。」

守麗王の言葉にリュナは微笑む。浅くお辞儀をした。王はリュナを見て頷く、そしてカルサを見た。

カルサは軽く頭を下げたまま動かない。

「沙更陣、二人を部屋に案内して上げてくれる?」

守麗王はそう言って立ち上がり、沙更陣が二人のもとに寄ってきた。

カルサは立ち上がり、立とうとするリュナに手を貸した。リュナはカルサにお礼を言い、手を握る。

「では、行こうか。」

沙更陣は二人を促す。カルサは軽く会釈をして背を向ける。リュナもそれに続いた。

「またあとで会いましょう?」

後ろから守麗王の声がする。一同は謁見の間を後にし、沙更陣についていった。

守麗王と話したおかげで落ち着いたのか、リュナは辺りを見てほほ笑みはするが興奮することはなくなった。宮殿内の雰囲気になれたのかもしれない。

「ここは御剣たちの帰る場所でもあるからね。一人一人に部屋があるんだ。」

「一人一人にですか?」

「ああ、あの建物がそうなんだよ。今から案内するからね。」

沙更陣が行き先を指差した。本殿の横が御剣たちの建屋になるらしい。

その建屋にはあまり人の気配はしなかった。静かで広い空間を進んでいく。

そして足を止め、目の前にある扉を手で示した。

「ここが雷神カルサ・トルナス、きみの部屋だ。右隣を風神リュナ・ウィルサ、きみの部屋にしよう。」

二人がお礼を言うと沙更陣は微笑み、去っていった。二人はそれぞれの部屋に入る。

中は予想以上に広く、二部屋の間取りがあった。きれいに掃除がされている。
 ソファに小さなテーブル、チェスト、ベッド、生活に必要とされているものはある程度用意されていた。
 リュナがみれば喜びそうな造り。きっと今頃いろいろ見ている事は安易に想像できて、カルサは小さく微笑んだ。


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