拭いきれぬ幻想-2
リードを握る佐藤達三人は、愛を中心にした三角形を作っていた。
これは痴漢行為の時の逃げ道を塞ぐ〈囲み〉の陣形であり、しっかりと天井の四隅に付けられたカメラの妨げにならない位置に、自分達を置いてしゃがみ込んでいた。
『落ち着いてってば。いま雪絵ママは《お仕事中》なんだから、終わるまでボク達と此処で待ってようよ』
高橋は立ち上がろうとする愛の首輪を掴んで引っ張り、自分達と同じ目線になるよう何度も囁きながら仕向ける。
優しい言葉遣いと乱暴な振る舞いに愛はますます抗いだす……その聞き分けの悪さに佐藤達は凶々しい興奮を覚え、その目はギラギラと輝きだしていた……。
『ンフフ!コレを観たら落ち着いてくれるかなあ?』
佐々木は高橋に促されたとおりに、部屋の隅に置かれたバッグの中から小さなモニターを持ってきた。
スイッチを入れて少しすると、そこにはスーツ姿の美しい女性がぼんやりと現れ始めた。
『ウフフ…ッ…愛ちゃ〜ん、ほら、雪絵ママが映ってるよぉ?』
佐々木からモニターを受け取った高橋は、愛の眼前に画面を突きつけた……ジタバタと足掻いていた愛は、視界の隅に自分の母親が映るモニターを見つけると固まってしまった……そこに映し出された母親の姿は、娘の愛の視線を奪うに充分なものであったからだ……。
「……ま…ッ…!?ママッ…?」
無音の画面に愛は釘付けとなっていた。
自慢の巨乳を曝け出した母は、真っ直ぐにカメラを睨みながらMの字に股を開くやストッキングの股間の部分を破りだした。
薄らと涙を滲ませながらも凛とした眼差しは流石はレジェンドグラドルであり、その見る者を惹きつける天部の才は、その心底に渦巻く哀しみを娘の愛にすら伝えてはいない。
股布から真っ黒な縮れ毛がはみ出しているにも関わらず、雪絵は破廉恥な挑発を止める素振りすらない……。
「い…ッ…イヤあぁッ!?」
愛は堪らず顔を逸らす。
あのスーツは今日着ていたものだ。
きっと自分が自宅で襲われた後に、知らずに帰宅してきた母も襲われて、此処に連れ去られたに違いなかった。
しかし、見知らぬ男共に無理矢理に連れ去られた母が、何故あんな真似をしているのか?
いや、さっきこの男はお仕事≠ニ言っていた。
そして自分の名前まで知っていた……。
全く状況の整理がつかなくなった愛は頭が混乱してしまい、その場にペタンと座り込むや、両手で顔を覆って塞ぎ込んでしまった。
その次の瞬間、股間を触られて逃げ出す雪絵の姿が画面に映っていた。
しかし愛は両手で顔を覆って泣いている。
今のこの光景を見ていたならば、愛は母の本質に気づいたはずなのに……。
(あれくらいの映像で泣き出すなんて……愛ちゃんって可愛いなあ〜)
少女好きの佐々木は勿論、佐藤も高橋も今の愛の姿に股間を熱くさせ始めていた。
実の母親のものとはいえ、あの程度の映像にすらショックを受けて身体を震わせてしまう美少女の姿というのは、胸が痛むほど愛くるしいものがあった。
性に目覚めている13才の女の子は、まだまだ知識もなく、ましてや経験など微塵もあるまい。
どこまでも純粋で、どこまでも無垢な存在。
そんな純真な美少女に汚れきった快楽を擦りつけ、心も身体もドロドロに汚染してやれるとは素晴らしい《娯楽》ではないか。