夏彼-1
え？夏休み？夏休みっつったらもちろん…
「キャンプ！海でキャンプするしかないっ!!」
「うん、オレもオレも！笑に賛成です!!」
永遠ぁ…。アンタならそう言ってくれると思ってたよぉ〜！
「キャンプ？じゃあ、アンタ等は夜中二人でどっか行っててよね」
『何でやねーんっ』
さすがあたし達！ツッコむタイミングもピッタンコ♪
「俺たち夜は仲良しこよしだもん、なぁー！」
「ねぇー！」
この馬鹿ップルが…二度と離れられないようにしてやろうか!?
「…じゃあさ!!いつするか決めようよ？」
永遠、アンタ本当にいい子だねぇ。永遠の配慮に免じて許してやらぁ。
「えっと、アタシこの日バイト無いよ？」
「あっ、俺も無い！エミリは俺の運命の人だから、神様が重ならないようにしてくれたんだぜ、きっと!!」…何ですと？
「きっとじゃない、絶対にそうだよ、叶斗。アタシたちは運命！これは神様の細やかな贈り物だよ!!」
…いやいや、まっさかぁ〜。ほら、この日もこっちも空いてるじゃんか!!
「エミリ、さぁ神様にお礼をしよう！ありがとう神様ぁーっっ」
「ありがとう、イエス様ぁーっっ」
エミリの家、仏教だよねぇ？立派な仏壇でお爺ちゃん笑ってたよね。チーンて、あたししたもん。つぅか、叶斗の家なんて寺じゃん。仏像あんじゃん。お父さん、毎日葬式で忙しいっつってたじゃん。感謝するなら、亡くなった先祖の方々にしな!!あたしたちは、死んだらみんなお星様になる仏教なんだよ!!このままじゃ、絶対、末代先まで呪われるよ？
「えーみ！どうしたの。ホラ、スマイル！でさ、この日、笑は空いてる？オレもバイト休みだったよ」
「この日は…空いてる！空いてるよ、とぉわぁ〜!!唯一バイト二日連続で休みぃ〜!!」
「良かった。エミリ、叶斗！笑もこの日大丈夫だってさ！」
「神さ…。おぅ、そうか！じゃあ、11時に東浜海岸集合な！」
「ありが…。よし、今日の会議はここまで！」
そう、ここまでは良かったの。
あたしの耳元で永遠が「笑が空いてなかったら、オレも行かないつもりだったんだ」って囁いて…。くはぁー、思い出すだけでトキメク。それで、あたしが「え？」って顔赤らめて永遠を見ると、永遠は、はにかんだ笑顔であたしを見つめてて…。
はい、ストーップ!!ここだ、ここ！ここが一番、幸せの絶頂だったの！で、この直後。…思い出したくねぇなぁ。いや、でも思い出さなきゃ先に進めないよね。うん、あたし、過去をしっかり見つめます！
「ちょっとぉ、このケータイのバイブ、アタシたちの甘い空気を濁すんですけどっ！」
「電話掛けてくれた人に感謝しなくちゃね」
エミリからケータイを受け取ると、あたしは誰からかも確認せず電話にでます。
あ〜あ、この時出なきゃ良かったぁ。居留守使えば良かったんだよねぇ…。
「もしもし」
『もしもし、えっちゃん？』
「あぁ、店長。どうしたんですか？」
『27日と28日、バイトに出てくれないかな？ワイフと夏休みだからバカンスに行くんだ』
「いやいや、待って下さいな！あたしにも、夏休みの予定が…」
『それじゃ、よろしく！アディオースッ!!』
「ちょ、あたしもサマーバケ」
『ブツッ、ツーツーツー……』
「イションの完璧な予定が…あっ…て……。あんまりだよぉーっ!!」