鈴木家での出来事 3 闇の中の狂宴-2
その声に刺激されたかのように、
地下室のいたるところで女たちの喘ぎ声が響き始めた。
「征爾。おしゃべり無しのルールは撤廃しないか?」
田辺の声が暗闇の中に響いた。
「ええ。わたしもそう思うわ。」
「ぼくも、それに賛成です。」
「ええ。無言もスリリングだけど、
出会った後は話しても構わないんじゃないかしら。」
「ああ。そうしよう。
相手を探すための言葉はこれからも禁止。
ただ、出会った後に、話すのは有り。いいか?征爾。」
しばらくの間があって、田辺の問いかけに征爾が答えた。
「ああ。みんながそう言うのなら、わたしのも異存はない。」
「じゃあ、征爾。明日香を楽しませてやってくれ。再会、おめでとう。」
「きゃ〜っ。おま、オマ〇コが壊れる〜。」
征爾の返事の代わりに、明日香の激しい、
絶叫のような喘ぎ声が、そして肉と肉とがぶつかり合うパンパンという音が、
地下室の暗闇に響き渡った。
その音に刺激されたかのように、そこここで卑猥な音が響き始めた。
「ねえ、上に乗ってもいい?」
明日香が征爾の耳元で囁くと、
征爾は明日香の身体を抱いたまま、ゆっくりと体勢を変えていく。
明日香は征爾にしがみつき、下半身だけでなく上半身も離れまいとした。
床に仰向けになった征爾の下半身に跨ったまま、
明日香は征爾のペニスをより深くくわえ込もうと腰をくねらせていく。
時折、ペニスが子宮口にぶつかると、明日香はそのまま腰をグリグリとくねらせ、
そのコリコリとした感覚を楽しんだ。
征爾はそのタイミングを見計らって腰を突き上げ、
明日香の子宮口をペニスの先端でこじ開けようとする。
征爾のペニスが明日香の子宮口の出っ張りをとらえるたびに、
明日香は恥も外聞もなく、叫ぶように歓喜の声を上げていた。
明日香の絶叫をきっかけに、誰もが何にも遠慮しない乱交パーティーが始まった。
暗闇で身体を合わせる以上、周りの誰にも見られることはないのだ。
そもそもセックスは密室で行われることが多いが、
乱交パーティーやスワッピングパーティーは、一室に多数が集まり、
誰彼関係なく身体を交え、そうしている互いの姿を見ることができる。
見られることや見せることが刺激にもなり、パーティーは盛り上がるのだが、
この暗闇の中の乱交パーティーは、
敢えて見られない、見ることができないという方法を選んだのだ。
すぐそばに誰かいるかもしれないのに、それを確かめることもなく、
偶然出会った相手と身体を重ねる。
そしてただの乱交パーティーと違うのは、
すぐ横にいるのは自分の妻かもしれないし、自分の息子かもしれない。
隣で喘いでいるのが自分の娘、
そのオマ〇コにペニスを突き刺しているのは自分の夫かもしれない。
しかしそれを確かめることもできず、自分は過去の恋人に刺し貫かれている。
あまりにも非日常的な行動は、人間から理性的な判断力を奪っていく。
そのきっかけが明日香の叫び声だった。
田辺が提案し、征爾が承諾したことにより、
相手と身体を交えているときは話をしてもよいことになった。
それでも誰も会話らしい会話はしていない。
ある意味、自分という存在そのものを秘密の存在として、
未知の相手と身体を重ねるスリルと興奮が全員を包み込んでいるようだった。
その分、喘ぎ声と相手の身体を舐め回したり吸ったりする、
ジュルジュル、ピチャピチャなどという音がどんどん大きくなっていく。
おそらく普段以上に大胆で激しい愛撫が行われているのだろう。
愛撫を受ける方も、遠慮なくその快感を喘ぎ声やうめき声で表現しているのだ。
普段はなかなか聞くことのない、男たちの喘ぎ声さえ部屋には飛び交っていた。
死角を奪われた結果、人は必要以上に憶病になる。
その臆病さは、周りからの情報が得られないという不安からくるものだ。
その一方で、自分が見えないのと同じように、人からも見えないのだと思うことで、
人は普段以上に大胆にもなれるのだ。
普段なら気にする世間体といったものも、この暗闇は打ち払ってくれるのかもしれない。
「おら、おら。もっと、ケツを上げろ。」
「ああ、ねえ、舐めて。わたしの、わたしのぐしょ濡れのオマ〇コ。」
「ほら、ケツの穴にぶち込んでやろうか。」
「ああ、いいわ。ねえ、オマ〇コの底をそのデカチンコでぶち抜いて。」
「ほら咥えろ。もっと、喉の奥の方で。お前の口(くち)マ〇コにぶち込んでやる。」
「ああ、ねえ、そのチンポ、ケツの穴にぶち込んで。」
そこここで聞こえる声は卑猥極まりないものだった。
しかし、誰の声なのかは、誰にも朧げにはわかっているものの、
誰もがそれをあえて追求しようともしなかった。
闇という名の匿名性が、恥も外聞も世間体も、全てを打ち払った結果だった。
自分以外の誰もが恥も外聞も投げ捨てているのだという安心感が、
さらに自分自身の行動を大胆にしていく。
それは普段はおとなしく優しい潤一も、例外ではなかった。
今、潤一は、嫌がる美奈子の尻をがっちりと両手で掴み、
そのいきり立つ肉棒を美奈子のアナルにぶち込もうとしていた。
征爾は再会を果たした明日香と再び出会い、
その肉棒を、嗚咽を漏らしながら嘔吐している明日香の喉奥深くまで突き刺し、
明日香の悲鳴や悶絶の声も気にせず、さらに激しく腰を突き出していた。
麗子は敏明の身体の跨り、
自分の全体重を我が息子のペニスに委ねるかのような危うい体位のまま、
腰を激しくグラインドしていた。
紗理奈は暗闇の中で出会った身体が未来だとわかった瞬間から、
まるで憎しみでもあるかのように身体中を揉み、
自分の拳に全体重を預けるようにして、
未来のオマ〇コへ埋めようとしていた。
未来の悲鳴が暗闇に響き渡った。