淫らな夏 (2)-2
互いの乳首を刺激しあい、ディープキスを続ける。後ろから男たちに陵辱されている。いつの間にかDの手は楓にも伸びているし、ゆきの乳房や股間にはEの手が触れている。恥ずかしくて直視できないが、きっとそうだ。自分の身体を這い回る腕の本数が明らかにおかしい。気持ちよくて抗えない。わけがわからない。楓にしがみつくと受け止めてくれた。女性の身体は、乳房も腰も背中も、すべてが柔らかく気持ちいい。誰に、どうやってかわからないままイかされた。楓も尻をガクガク震わせゆきに抱きついてきた。ぎゅっと抱き返してあげる。「ゆきちゃん……ぁああ……ごめんね……! ぁああ!」。楓はゆきの腕の中で高く鳴き、絶頂に達した。
*
DとEが位置を入れ替わる。ゆきはEに、楓はDに、それぞれ後ろから乳房や股間を責められる形となった。
単なる「サークルの先輩」でしかない異性と汗ばんだ肌を密着させるという異常なシチュエーションに、泣きそうになるゆき。狂った時間を誰も止めようとしないし、そもそも止め方もわからない。旅先という非日常が、冷房の効かない蒸し暑さが、異性の汗の匂いが、若者の理性を破壊した。
特にゆきと楓の瑞々しい肢体と可憐な喘ぎ声、それに股間から漂う隠秘な香りは、男を熱(いき)り立たせるのに十分過ぎた。二人とも、マスコミも注目する『ミスK大』レベルの美貌とスタイルの持ち主である。スレンダーなゆきと、グラマラスな楓がキスしながら乱れる姿は、狭い部屋をフェロモンでいっぱいに満たした。
ついにその時が来た。
四つん這いで突き出された楓の尻を、Dが後ろから掴む。雄々しく屹立したペニスを「友人の恋人」の花びらにあてがう。
「……挿れるよ、いい……?」
D以外の三人全員が、自分に同意を求められたと感じた。が、返事をする間もなく、Dの陰茎は楓の蜜壺へと挿し込まれていった。
クチュ――――。
「ぁああ……んぷっ……!んんんんんんん!」
ゆきの目の前で、楓の表情が歪む。今日見たどの表情よりも切なく美しい。いや、見惚れている場合ではない。大好きな先輩が、大好きな自分の恋人とセックスしているのだ。嫌だ。そんなことしないで。どうしようもなく沸き起こる悲しみと嫉妬の炎をぶつけるには、楓のこともDのことも好きすぎた。行き場を失ったどす黒い感情が渦を巻き、涙となって溢れ出る。
ゆきの尻をEが持ち上げ、むしゃぶりついてきた。この状況で泣いていても、気持ちよさによがっているだけと思われるだろう。自分でもどちらなのかわからない。気持ちいい。
パンパンパンパン――。
「んん……! んん! っんぁ! ぁあ、あぁん……!」
Dに後ろから突かれている楓は、ゆきとのキスを放棄して崩れ落ち、布団に突っ伏してしまった。突き出した大きな尻が揺れている。顔を横にそむけ表情こそ見えないが、手はシーツを握りしめ、ときおり尻をびくんと震わせる。快楽に耐え、なるべく声をあげまいとしているようだが、淫らな声がしきりに漏れ出てくる。ゆきよりも肉感的でボリュームのある尻肉は、Dの下半身とぶつかり合い、恥ずかしい音を響かせている。やはりゆきより一回り大きな乳房と乳輪が、直視できないほどいやらしく前後に揺れている。
パンパンパンパン――。
「ぁぁん! んん! はぅ……っくぅ! ぁああん!」
さきほどからEの手は落ち着きなくゆきの小ぶりな下半身の上を動き回っている。尻を高く突き出すようにされて、軽く撫で回され、ぺしぺし叩かれる。迷いなく楓に挿入したDに対し、Eが逡巡している様子が伝わってくる。「いい人」のEらしい。自分を犯そうとしている相手を「いい人」とは、ゆきこそ人がいいが、本当にそうなのだ。調子づいて浮ついた男も少なからずいるキャンパスで、Eは素朴で誠実さを感じる癒やし系の先輩だった。飾らぬ性格同士、楓とお似合いのカップルで、セックス未経験の二人が少しずつ性技を覚え、身体の相性を高めてきたというエピソードもいかにもこの二人らしくて羨ましかった。
そんなEすら狂ってしまった。
ふぅ、ふぅ、ふぅ――。普段のEからは想像もつかぬ動物的な鼻息が聞こえる、熱く滾ったペニスをついにゆきの股間にあてがう。蜜壺から恥ずかしい汁が溢れているのがわかる。女性として、こんなセックスは拒否するべきだと思う。頭ではわかっているのに身体が動かない。
結果としてEには自分のことが、四つん這いで尻を突き出し、挿れられるのをただ待っているだけの女に見えていることだろう。正直なところ、押し当てられた亀頭が花びらに擦れるだけで気持ちいい。
ああ、もうこのまま早く挿れてほしいとつい魔が差してしまう。恋人の目の前で、そんな破廉恥なことを一瞬でも思ってしまった自分が嫌になる。その瞬間――。
Eが腰を突き出す。
ゆきは、三人目の男性を知った。
*
「……っん! んん! んぁああああ!」
味わったことのない感覚が、ゆきの身体の中心を貫いた。圧倒的な異物感。ペニスではない別のものを挿れられたと一瞬勘違いするほどの何かが、ゆきの下半身を圧迫する。未知の物体が下腹部の大切な箇所へ挿し込まれた恐怖、困惑――それが快楽に変わるのに時間はかからなかった。
「ぁぁん! ぁああ、ぁん! ぁああん!」
脳天に突き抜ける快感に痺れながら、ゆきは理解した。Eのペニスは、Dよりも格段に太く長い。
自分の口から出ていると思いたくないほどの恥ずかしい声が出てしまう。DにもEにも、楓にも聞かれてしまう。なのに止められない。
「ぁあああ、ぁん! はぅん! ぁん! ぁぁん! んん……!」
Dが「俺は粗チンだから」と冗談交じりで言うのをたしか聞いたことがある。そのときのゆきにはよくわからなかったが、今ならはっきりわかる。