狙われた母娘-1
…………あの日から二週間が経過し、奥村かずさと新庄由芽の失踪が報道され始めた頃、佐藤と高橋は朝の通勤ラッシュの中に紛れ込んでいた。
早くも次のターゲットを探し回っていたのだ。
やはり商品というのは鮮度が命である。
それが食材であれば尚更だ。
失踪報道は最高のプロモーションとなり、由芽とかずさの作品は、例外なく二つセットで買われていった。
売り上げ好調だと分かった今、このメス共に用は無い。
鈴木は直ぐに馴染みの人身売買組織に『売りモノ有り』の送信をし、その日のうちに数人のスタッフがあの監禁部屋に現れた。
試し姦り≠しての評価は上々で、直ぐにあの二人は高額で売られた。
空っぽの監禁部屋をそのままにしておくほど姦獣共は暇じゃない。
鈴木は元・痴漢師の二人の審美眼を買ってターゲットの詮索に向かわせた。
もちろん、女なら誰でもいい筈は無い。
『お客様の要望を聞くとよぉ、熟女とロリを期待する声が多いんだよなあ?』
『確かにOLとかJKの作品が連発してたしな』
『つーコトでよ、アラサーの綺麗どころと背の小っちぇえJCで頼むわ。ちゃんとその分のギャラも出すからさあ?』
夜通し酒を飲み続ける鈴木達に言われるがままに、二人は朝早くから電車に揺られる。
なにやらパシリ≠ノされた気分にもなるが、自分好みの女を探すという行為にも興奮を覚える二人でもある。
表情は平静に、しかし、その眼は色欲にギラギラと輝いてキョロキョロと忙しなく動く。
……と、何やら不自然な動きをする男を佐藤は見つけた。
青いブレザーを着た女子高生の背後に立つ男は、器用にスカートを手繰っては捲り上げ、その中に掌を滑り込ませていった。
『……ねえ、アイツ佐々木じゃない?』
二人は佐々木という痴漢師を知っていた。
未成年の女の子だけを専門に狙う小心者≠ナ、大人の女には目もくれぬ奴である。
『アイツも仲間に入れちゃう?』
『……捕まらなかったらね』
昨夜の酒宴の席で、鈴木はチームを二つにする案を提示していた。
奥村かずさのような美形好きな鈴木チームと、新庄由芽のような愛玩動物系が好きな痴漢師チームとに別れ、それぞれに撮影をしたらどうか……というものだった。
その方が撮影ペースも作品の制作ペースも上がるだろうし、もちろん互いに協力しながら拉致や凌辱するのも当然として行うという案だ。
そして増員を一人までとしたのは利益配分を考えてのことで、それならば報酬を下げずに利益を上げられると鈴木は考えたようだ。
だからこそお客様の要望に応え、少しでも売り上げを伸ばそうとしたのだろう。
鈴木達は熟女にあまり興味はなく、痴漢師二人も中学生となると流石にキツく思っていた。
酔った勢いでの戯言だったのかもしれないが、まずはやってみるしかない……止まった電車から逃げるように女子高生が駆け出したのを見た二人は佐々木に近づき、軽く挨拶を交わしながら次の駅に下りるよう促し、そしてこの二週間の出来事を佐々木に話した……。
『えッ…!?テレビで流れてたアレって君たちが?ぼ、ボクも交ぜてよ』
『もちろんだよ。でも絶対に誰にも喋ったりしたらダメだよ?本当に《死刑》になっちゃうから』