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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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淫らな夏 (1)-1

 溢れんばかりのDの思いを口で受け止め、出されたものをすべて嚥下したゆき。
 おやすみのキスを交わして再び眠りにつく。口内射精も飲精も、Dと出会って覚えたことだ。男性の精液臭すら、今は愛おしい。口の中が独特の粘つきで満たされそれを唾液で丁寧に溶かして飲み下していくと、まるで自分の体内がDで満たされるような幸せを感じる。

 決してありえないことだが、もしDに、膣の中で子宮に直接精液を注ぎ込まれたらと考えると、あまりの幸福感とあまりの恥ずかしさに下半身が疼いてしまうことがある。

 しんと静まり返った暗闇で、ふと、何かが動く気配を感じた。耳を澄ます。気のせいではない。隣の部屋からがさごそと布の擦れ合う音が断続的に聞こえてくる。やがてそこに吐息のような荒い息遣いが混じる。吐息が、女の喘ぎ声に変化するのに時間はかからなかった。ゆきにもわかる。圧し殺したボリュームではあるものの、間違いない、Eと楓が性行為を始めたのだ。

 ドキドキする。他人の行為を身近で感じるのはもちろんはじめて。自分たちもしたのだから、Eと楓がしてもおかしくはない。他に物音の一切ない深夜に、その音は驚くほどくっきりした輪郭を持って耳に届く。自分たちの行為もこのように隣に聞こえていたのかもしれないと思うと顔が火照り、変な汗が吹き出してくる。Dの手をぎゅっと握りしめる。ピチャピチャ、クチュクチュと湿った音まで聞こえてきた。
 さっき自分がされたことを、今は楓がされている。いったいどんな気持ちなのだろう。私と同じように幸せを感じているのだろうか。この後はやはり男性器を口に含むのだろうか。楓のあの小さく可愛らしい口をいっぱいに開いて。

 息が詰まる。寝返りすらうってはいけない気がする。耳まで熱くなり体中に力が入る。
「ゆきの心臓、ドクドクいってる……」
 Dの手が、ゆきの小さな胸の膨らみにそっとあてがわれる。大きくて暖かなDの手のひらの重みが、ゆきは大好きだった。
 恋人の手のひらがゆきの乳房を包み込み、先端の突起を撫でて転がす。気持ちいい。しかしこのまま身を委ねていいのだろうか。隣で淫らな行為をしている友人カップルの横で、自分たちまで。

「んん……」

 異常なシチュエーションにしかし身体は敏感に反応する。Dも興奮しているのか、ゆきの身体をあっという間に蹂躙していく。唇を奪われ、もう一方の手指が花びらを割ってゆきの花芯に侵入してきた。やはり気持ちいい。無意識で腰が持ち上がってしまう。隣のクチュクチュ音と自らの股間のクチュクチュ音がシンクロして耳に届く。

「興奮してる……?」
「……ん………………」
 恥ずかしくて答えられるわけがない。腰をくねらせる。
「すごい……やらしい動き……」

 自分でもそう思う。楓の喘ぎ声を聞いていると興奮してくるのだ。楓はいつも穏やかで凛としている憧れの先輩である。DやEと同じ三年生。将来ジャーナリストを目指し勉学に励むかたわら、昨年ひょんなことからエントリーすることになったミスK大コンテストで準ミスに選ばれるほどの美貌の持ち主でもある。
 やはり入学当時からしきりにミスK大へ推されていたゆきが、唯一相談した相手でもあった。女子アナや芸能界を目指すのならいいが、そうでなければいわゆる「ガチ勢」からさまざまな嫌がらせを受けるよと、いつもの素敵な笑顔で教えてくれた。うっかり準ミスに選ばれた昨年はいろいろ大変だったらしい。いっそ開き直って女子アナになり、そこを踏み台にジャーナリストの夢を叶えてやろうかと思ったとも。

 その楓が、ほんの畳一枚か二枚の距離を隔て男と淫らに絡み合い、女の声をあげさせられている。しかもさきほどから楓の喘ぎ声は何かを口に含んだようなくぐもった音に変わっている。フェラチオをしながら女性器を触られているのだろうか。シックスナインをしているのかもしれない。

 自分たちもしておいてなんだが、あれほどいやらしい行為はないと思う。セックスは歴とした生殖行動であるのに対し、互いの性器を口で愛撫し合うシックスナインは、ただいやらしいだけでなんの必然性もない行為である。しかも基本的には女性が四つん這いで上になり、大きく脚を拡げて男の顔前に陰部を晒さねばならない。湿った陰毛もグロテスクな花びらも肛門の皺も丸出しにして、蒸れて酸っぱい匂いをさせた股間を愛する人に嗅がれてしまう恥ずかしさは他に例えようがない。
 男性経験も浅く、Cとおままごとのようなセックスしかしてこなかったゆきは、こればかりは、最初戸惑った。それでもDに喜んでもらいたい一心で行為を受け入れ、いつしかその異常性と背徳性に、自身も興奮するようになっていた。

 そのシックスナインを楓もしている。大人の女性はみんなするのだろうか。いつも涼し気なあの楓が、男の人の顔面に股間を押し付けるような行為を果たして本当にするものだろうか。想像しただけでゆきの顔は熱くぽやんと火照った。火照りながら、クンニでイかされた。自分がイッた声もまた、楓とEに聞かれているのだと思うと恥ずかしい。隣でも楓が小さく鳴き、イカされた。
 しばしの静寂に続いて、ギシギシという部屋が断続的に揺れる音、そしてやはり懸命に堪えるような女性の喘ぎ声。

 ギシ、ギシ…………ギシ、ギシ…………。
「……ン…………ン…………アン…………」


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