通じないパスワード-3
バイト代の割合を色付けてやる、と蓮見に言われて――折れてしまった。
お小遣いは欲しいのだ。
移動のバスに乗る頃合いに、お互いに顔合わせとなる。
水着みたいな薄着の冴島茉奈を見て、悠紀は見入ってしまった。
モデルが良いので、何を着ても似合ってしまう。
悠紀の視線に気付いて、
「笹戸と仕事するのは初めてか」
生徒会の中での、蓮見が広めたらしいルールがある。
挨拶代わりにキス、脱がなくても良いけど、下着を見せる、乳首も見せる。
胸を揉ませたり、努力次第では特別報酬あり……とか。他にも色々と増やして、なくして調整したらしい。
ただ、女子生徒が魔法みたいにルールに従う方法は、訊いても答えてもらえない。
――茉奈もごく、当たり前の仕草でスカートをめくって見せると、薄着――キャミソールと言うらしい――の襟の部分を引っ張って中を見せる。
「スタイル良くて、キレイな色だな」
「……男子って『ムネでかい』しか言わないと思ってた」
悠紀の肩を抱いて――唇を合わせる。まだ不器用なキスだった。