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プリンセスナイト
【学園物 恋愛小説】

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プリンセスナイト-6

「俺が消した。」

クラス中が一気に静かになる。
隣では朝鳥が心配そうに俺を見ている。

『え…なんで冷吾君が…菅谷なんかの落書き消してんの…?』

戸惑いに満ちた声。

「菅谷なんか…か。良く言うよ。カスが。
一人を皆で寄ってたかってイジメやがって。お前ら最低だってことが自分で分かってないのか?所詮お前ら一人じゃ何も出来ないだろ?人一人イジメるのに大人数だもんなぁ。当たり前だよな。その大人数に朝鳥は一人で耐えてたんだぞ?分かるか。分からないよなぁ。どれだけ大変なのか。味方が居ない状況。周りは全て自分をけなす敵。あぁ、俺は考えただけでも寒気がするがな。それをお前達は繰り返した。何回も。想像ですら辛いことを現実にな。一度よく考えてみろ。」

『…………。』

長い沈黙。ただ一人、朝鳥が泣きじゃくっていること以外は。

『イジメて…ゴメン。冷吾君の言った通り、私達とても酷いことしてた。朝鳥の気持ちも分からずに。ホントに…ゴメン……。』

沈黙を破ったのは主にイジメの主犯格だったやつの謝罪だった。涙混じりに謝っている。相当自分のした行いを良く考えたのだろう。その後もクラス中から次々と謝罪の言葉が出る。

「ううん…良いの…私…とっても辛かった。でも、分かってくれるなら嬉しい…。」

涙ながらに答えた朝鳥は本当に嬉しそうだった。今までで、1番。

「そして冷吾君、ありがとう…。」
「ふっ、彼氏として当たり前だ。だが、仲良くするのは朝鳥の仕事だぞ?俺は関わらないからな。」
「分かった…。」





こうして朝鳥はイジメられなくなった。彼女に聞いてみると、とっても上手く仲良くやってるらしい。「学校、とても楽しい」とか言うようになった。笑顔も増えてさらに可愛くなった。


一方、俺はというと……。
「いんやぁ、しかしかっこよかったね冷吾君♪」
「確かに今考えると最高だわ冷吾♪」

将大と朝鳥との帰り道。

「まぁあれから冷吾はかなり変わったしね。明るくなったし、なにより積極的だし♪」
「そ…そうなのか?」
「そうよ〜。冷吾大好き♪」
「んぁ、熱くなってきたので俺は帰りますかね♪」
「あっ、待て将大!!」
「じゃあね〜。」

将大がいなくなり、二人きりの帰り道。

「冷吾?」
「ん?」
「あの時は護ってくれてありがとう。そしてこれからもよろしくね。ナイト様♪」


もちろん答えは一つ。


「いつでも護るよ。お姫様。」



fin.


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