仮想通貨-5
「くっ、まさか柳川をこんなに早く身柄を確保するとはな…。あのハーフのオマンコ刑事を甘く見ていたな…。おい、栗田を匿え。あいつまで逮捕されたら厄介だ。暫く身を隠させろ。」
「了解しました。」
柳川逮捕の報を聞いたある男は部下にJR城南の栗田を警察の目から遠ざける対応をした。
「上原若菜といい、あのマギーと言う刑事といい、ウザい奴らだ。女どもが調子に乗りやがって。警視総監が女とか世も末だ。俺が引きづり下ろしてやる。」
そう言って奥歯をギリギリッと噛み締める男であった。
一方、県警本部に戻ったマギーと華英。若菜からマギーが徹夜で柳川逮捕に向けての準備をしていた事を聞いていた石山は言った。
「マギー、今日はもうあがれ柳川の取り調べは任せておけ。」
「私なら平気です。まだまだやる事いっぱいあるんで。」
「いいからもうあがれ。華英、お前も今日はあがっていいから、この上原もどきを連れて帰れ。」
華英はマギーとは正反対で喜んだ。
「あがっていいんですか?♪」
「お前も毎日毎日帰りが遅いからな。体と気持ちをリフレッシュするのも仕事のうちだ。また明日からしっかり働いてくれればいい。」
「で、でも…」
「まぁまぁ、本部長もそう言ってるんだし帰ろうよー。」
マギーは石山の事をチラッと見る。
「か・え・れ。」
優しい石山だが迫力がある。それに上司の命令だ。やりたい事は山ほどあるが、ここは言う事を聞き、上がる事にした。
「分かりました。今日は帰ります。」
「ああ。映画でもショッピングでもメシでも好きにしろ。2人でリフレッシュしてこい。」
華英はマギーの腕に抱きつき、ハーイと満面の笑みを浮かべた。
更衣室で私服に着替えた2人。刑事とは思えないギャル服の華英に対してマギーはシックなパンツスタイルのファッションだ。知らない人から見れば異色の組み合わせだ。時間は夕方17時。学校帰りの学生で賑わう駅まで歩く2人。
「駅ビルでお買い物してこーよー。」
「いいよ?」
2人は駅の階段を登り改札手前にある自動ドアから駅ビルに入る。
妹のような華英。以前はギャル服の華英と歩くのが苦手だった。しかし今ではどんな服を着ていようが華英と一緒に歩くのが大好きだ。何より華英が大好きだ。一人でいるより華英といた方が落ち着く事の方が多い。昼間に捜査で来た城南駅だったが、オフに華英と歩くとまるで別の場所のように思えるマギーであった。