仮想通貨-3
冷ややかな目で柳川を見つめるマギー。
「個人の尊厳の為、あれもこれもは言いませんが、あなたは長い間、奥様の目を盗んで園田洋子さんと密会を重ねて来ましたね?その関係は今でも続いてると調べがついてます。そしてあなたは園田洋子さんの名前を使いビッツコインを取引してた…。プラネット社から取引履歴を見せてもらいました。一般の他の方は不審な取引は見受けられませんでしたが、園田洋子さんの取引だけ、不自然な取引をしています。キレイな程、高値の時に売却し、底値の時に大量に買い占める。また上がる直前に大量買いしてます。そのタイミングが驚く程にピッタリで、よほど先見力に長け動向を読む力があるか、何かしらの情報を予め知っていたか…じゃないかと。」
その言葉を聞いて矢島が口走る。
「ま、まさか…インサイダー取引…!?」
「そう。何の前触れもなくビッツコインの価値が上がる時、必ずそこにはビッツコインを導入する企業がありました。例えば大型商業施設での導入が決まった、とか。その情報をリリース前に得ていたあなたは、そのタイミングで園田洋子さんに指示してビッツコインを買わせていましたよね?」
柳川は見るからに動揺しながら答える。
「な、何の事かさっぱり…」
知らぬ存ぜぬ記憶にないはマギーの想定内だ。しかしどうでも良かった。何故ならマギーには確固たる証拠があるからだ。
「先程、園田洋子さんを任意同行させていただきました。そして取調べの末、容疑を認めたので身柄を拘束しております。その中であなたの関与を潔く認めました。と言う事で…」
マギーがそう言った瞬間、複数の刑事が中へ入って来た。
「柳川春樹、インサイダー取引容疑で逮捕する。」
いきなりの災難に慌てる柳川。
「あ…、ち、ちょっと待ってくれ!」
逃げ腰の柳川に手際良く手錠をかける刑事。たいした否認の言葉も叫べないまま、騒然とする行内を刑事に取り押さえられながらパトカーで連行されて行った。
いきなりの急展開に華英はポカンとしていた。
「マギー、いつの間に調べを進めてたの…?」
「昨日からずっと。徹夜で。たらたらしてたらあっちに色々対策されちゃうからね。だからあっちの予想を上回る速さで、裏をついたのよ。まぁ上原さんにプラネット社とか金融庁に連絡して貰わなきゃここまでの証拠は集まらなかったけどね。」
マギーはもしかして内緒にしていた事を華英が良く思わないのではないかと心配したが、
「マギー、凄いね!なんかやる事が上原さんみたいになってきた!さすが私の先輩♪誇らしぃ〜!」
と言って目をキラキラさせてくれたので安心したのであった。