帰らぬ妻 (3)-3
電話を切ると、ゆきの喘ぎ声がひときわ高くなった。夫とのラブラブ通話をFに冷やかされ、恥ずかしがりつつも否定はしない。私への愛を語りながら、不倫相手にアナルセックスでイかされている。夫が夫なら妻も妻だ。
「あぁんやだ……どうしよう……ごめんなさい、大好きパパ……! イっちゃうごめんねパパ、ゆきお尻の穴でイッちゃうよぉ! ぁあああ!」
こんな酷い不倫をしても、ゆきは帰宅すれば心からの笑顔を見せてくれて、喜んで夫のセックスの相手を務めてくれる。短小早漏夫のペニスを大切そうに愛撫してくれるし、むしろゆきの方から私と一つにつながることを求めてくれさえする。寝取られマゾにもいろいろあるらしいが、どうやら私は、心から愛し合う女性が、私への愛はそのままに、他の男とセックスすることに無上の興奮を感じるタイプのようだ。美人で清楚で慎ましくて、夫婦生活でも社会生活でも完璧な女性であるゆきが、人に絶対に言えないような変態不倫をするからいいのだ。
ゆきはゆきで「清く正しく美しく」という自らのパブリックイメージを徹底的に貶めるような堕落したセックスに悦びを感じるドM女である。私が長いこと知らなかっただけで、Fと付き合っていた頃から、いやひょっとしてその前から、ゆきはそういう女だった。夫への貞操というブレーキが外れた今、性処理便所体質が開花し、見知らぬ男にさえ身体を差し出してしまうほど、堕落に拍車がかかってしまっている。
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帰宅した私は、リビングの大画面テレビに、さきほど入手したばかりの動画を映し出した。ネオンの光に照らされて、男たちの餌食となっているゆきの姿である。
事を終えたサラリーマンに声をかけ、スマホで撮った動画を譲ってもらったのだ。彼は予想外においしい思いができたことに礼をいい、快く動画をコピーしてくれた。もちろんどれもこの目で実際見た光景ではあるが、結合部分やフェラチオの口元までばっちり収められているハメ撮り動画には、また別の生々しさがある。
ショックだったのは、ゆきのアナルが明らかに緩んでいたことだ。Fのペニスを受け入れ、抜き取られたばかりのその場所は、ぽっかり黒い空洞を覗かせていた。物陰からではわからなかった、初めて目にする、妻が肛門を捧げてしまった動かぬ証拠。
肛門を赤く腫らしたゆきは、しかしそんなことはおかまいなく、見知らぬ男の不潔なペニスを受け入れた。たっぷり焦らされた身体を腹の出た男に後ろから抱きかかえられ、野獣のようなピストン運動でたちまちオーガズムに導かれた。イかされても男は休まず責め立ててくる。すぐにまた高みへと導かれ、下半身をビクンビクンと震わせる。フェラチオが疎かになっていることをFに指摘され、あわててペニスに舌を這わせる。
「今度は奥さんが動いて」と命じられ、戸惑いつつも素直に尻を動かしてしまう。ゆきが、愛する妻が、そのむっちりした下半身を、サラリーマンの腰に密着させ擦りつけている。
「ぁああ……!」
歓喜の声をあげるゆき。膝を器用に曲げたり伸ばしたりして、はしたなく腰を振る。立ちバックで女性が自ら尻を振って男性器の刺激を求める姿の、なんと情けないことか。
「奥さん、すごい眺めだね。可愛い顔して、大きなケツヘコヘコ動かしちゃって……」
「ぁあ……! ぁん……! はぁん……! んん……!」