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真奈美の性春
【学園物 官能小説】

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鈴木家での出来事 1-8

「まあ、でも、だからと言って、今すぐにどうこうということでもないだろうし……。」
田辺の言葉に征爾は反論した。
「いや、生野さんのところは今頃、家族旅行の真っ最中だ。
 旅先で真奈美ちゃんに何があるかわからない。」

「でも、敏明という存在があるわけですから、
 真奈美ちゃんだってそう軽々しく……。」
麗子は真奈美が敏明がいるのだから、他の男と交わることはないだろうと考えたのだ。
「いや、雅和さんは家族のリスタートを切ると言っていた。
 多分、新しい家族の在り方を探すつもりもあるんだろう。
 きっと真奈美ちゃんにも色々な経験をさせようと思っているはずだ。」

「確かに。
 ボクも真奈美といろいろ話したんですけど、
 高校になったらいろいろな出逢いがあるだろうって。
 抱かれる相手のことも話しました。」

「わたしも、先日、真奈美デイの時、雅和さんとも話し合って、
 真奈美ちゃんとのルールを決めた。
 人数制限という不思議なルールをね。
 まあ、世の中には悪い男もいるから、
 そういった類の男に騙されるようなことがないようにと、
 雅和さんと相談して考えたことだが……。
 でも、ある意味、家族で行動している時の家族の行動は、
 真奈美ちゃんの意志もそうだが、親の意志もあるだろう。」

「親が安心と思った相手としか関わらない……。」
「つまりは、真奈美ちゃん自身が判断する場面ではないっていうことですね。」
「ああ。ある意味、人数制限の適用外って言うことになるだろう。」
「だったら余計に心配だわ。
 真奈美ちゃんにストッパーはかからないって言うことでしょ?
 それに旅ですものね。アバンチュールと言うか……。
 一夜限りの、旅の恥は掻き捨て、みたいなところもあるし。」
「雅和さんたちがそうするっていうことですか?」
「いや、成り行き次第では、雅和さんも香澄さんも、
 そういう行動をとることは十分に可能性があるだろう。
 そうなれば真奈美ちゃんも……。」

「人数制限にも引っかからないんだから、
 本能のままに、前置き無しで始めちゃうっていうこと?」
「美奈子。言い方がストレートすぎるが、まあ、そういうことだ。」
「でも、わたしも、直ぐに、直に、で全然かまわないんだけどなぁ。」
美奈子は珍しく父親に逆らうように簡単には引き下がらなかった。

「徐々に、とか、だんだん、とか、少しずつ、とかいう中にも、
 情緒的なものがあるんだよ。
 美奈子も少し経験した方がいいかもしれないな。」
「なんか回りくどくて面倒くさいような気がしますわ。」
美奈子は正直、父親の言うことが納得できなかった。
(パッパッと脱いで、いきなりのズボッて言うのも、結構刺激的なんだけどなぁ。)

「いずれにしても、知らせておくだけは知らせておこう。
 どういう判断をするかはあちらの家族の問題だがね。」
征爾はそう言うと、スマフォを手に取り、雅和に電話しようとした。
しかし、直ぐに考え直し、メールを送ることにした。
(せっかくの家族水入らずを、
 いきなりの電話で邪魔するほどのことでもないだろうからな。)


真奈美のことで事が中断した形になった鈴木家と田辺家のメンバーは、
リビングのソファーに座り、雑談を始めた。
それぞれが飲み物を口にしながら、
相手の着ているものを脱がせる行為が、前戯として有効かどうかについて、
それぞれが体験を語り始めた。

「男と女が出会って、その行為にたどり着くまで、
 普通は互いが服を着ているのが当たり前、だよな。」
「ああ。互いの気持ちや雰囲気が盛り上がってきたところで、
 より濃密な接触を求めて、相手の服を脱がしていく。
 そんなところだろうな。」

「でも、我慢できずに、自分からさっさと全裸になる男もいるわ。」
「麗子。それは君の経験からの話かい?」
「おいおい。征爾。そうムキになるなよ。
 麗子さんだって、お前と一緒になる前にはそれなりにいろいろあったんだろうから。」
「そりゃそうよ。
 高校生が放課後の教室で人目を忍んでキスしたり抱き合ったりしている状況で、
 いきなり全裸になる人がいると思う?
 それこそ色情狂か露出魔と思われるのがオチよ。」

「おい。将来。お前、大丈夫だろうな?」
「お父様。これでも、ボクの初体験は身内じゃありませんからね。
 それなりのプロセスを経て、最初の彼女とは結ばれました。」
「じゃあ、服を着たままのキスや、服の上からの愛撫は?」
「当然ですよ。むしろ、その期間が長かった。
 愛撫なんてところまでたどり着くまでのプロセスだって、
 ちゃんと経験してきましたからね。
 手と手が触れあうだけでドキッとするとか。 
 なんとなく、どちらからともなく手が近づいて行って、手を握る、とか。」
「じゃあ、キスなんて言うのは結構後の方なんだ。」
「もちろんです。
 おでこにチュッ。そこから一歩進むだけでも、かなりの時間がかかりました。」

一同は将来の赤裸々な告白に惹き付けられた。

「初めて裸同士で向き合った時は?」
興味津々の質問が相次いだ。
「彼女は、電気を消して、と言いましたよ。
 見られたら恥ずかしいからって。」
「そうよね。それが多分、普通のプロセスなんだわ。」
「でも、ボクや真奈美は、そのプロセスを経て結ばれていない。」
「そのまま、我が家でわたしや潤一君と結ばれたわけだから、
 恥ずかしいから電気を消して、なんて言うプロセスはあり得なかったわけだ。」
「でも、それが別に悪いことだとも思いませんが。」
「ああ。別に悪いことではない。
 ただ、世間の常識と言うか、一般的な男女間の在り方とは、
 いささかかけ離れているのかもしれない。」


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