鈴木家での出来事 1-3
「そういうところが意外と頑固なんですよ。うちの父は。」
「ええ。わたしたち子どもの気持ち、
そう、わたしも、未来も、とっくに気持ちは決まっているのに、
それなのに、今日、実際にお会いして、身体を交えてから決めればいいって。
慌てる必要はないって言うんです。」
「未来は征爾さんと敏明君とのことをずっと思い描いて、
さんざんボクを相手にシミュレーションさせましたからね。」
「シミュレーション?」
「ええ。未来はボクを相手に、
敏明君のペニスはどう咥えようかしら、
征爾さんとのセックスはこうすればいいかしら、と言った感じで、
さんざんシミュレーションしてきたんです。」
田辺は意外、問い顔をして子どもたちを見た。
「と言うことは、お前たちはもうOKなのか?」
「お父様。物心ついたころからお母様と征爾おじ様のことを、
さんざんわたしたちに話してこられたのはお父さま自身ですよ。」
「そうですよ。言ってみれば、今日のために、お父様はぼくたちを育ててきた。」
「おいおい。さすがにそこまで言うと嘘くさくなる。」
「でも、ウソでも何でもないんです。征爾さん。」
「そうなの。だからわたしは、お父様とお兄ちゃんを知った後は、
ずっと征爾おじ様とのセックスを想像して成長してきたの。」
「なんだ。オレは明日香から、お前たちがあまり気が進まないようだと聞いたんだが。
じゃあ、あとは明日香だけっていうことになるな。」
「おいおい。自分の恋女房にプレッシャーをかけてどうするんだ。
わたしは明日香の思うままでいいと思う。
明日香。わたしのことを考える必要は全くない。
昔は昔だ。
今の君の気持ちを大切にすればいい。」
「征爾。その優しさが明日香を迷わせたんだ。
そう、明日香が最後にオレとの結婚を選んだのも、お前の、その優しさが原因だ。」
「わたしの優しさが?」
「ああ。明日香は、お前に強引に奪って欲しかったんだよ。
オレなんかよりも、強引に、一方的に、な。」
征爾はあまりにも意外な話を征爾から聞かされ、複雑な気持ちになった。
「そうなのか?明日香。
わたしは、わたしの強引さに君が嫌気をさして、
わたしから離れていったのだとばかり思っていたが……。」
「さあ。どうだったかしら。ずいぶん昔のことよ。もう忘れてしまったわ。」
明日香は征爾から目をそらしながら答えた。
「お母様。嘘はやめた方がよくってよ。
この前、言ってらしたじゃありませんか。
あの時、征爾さんに強引に求められていたら、
わたしの人生も全く違うものになっていただろうって。」
「明日香。あなた、そんなにおしゃべりが好きだった?」
「あら。わたしが好きなのはむしろおしゃぶりよ。
今すぐにでもおしゃぶりしたいものが目の前にあるんですもの。」
未来は征爾の顔を見つめた後、その視線を股間に移しながらつぶやいた。
「未来ちゃん。わたしも今すぐにでも咥えて欲しいところところですよ。」
「あら、相手はお母様じゃなくてよろしいんですか?」
「未来ちゃん。もちろん、あなたのお母様も抱きたいのが正直な気持ちです。
ただ、やはり本人の意志と言うか……。
こればかりは強要できるものじゃありませんからね。
無理強いをして明日香が帰ってしまうようなことになったら、
なんの意味もありません。
今日は、鈴木家と田辺家の、新しい始まりの日なんですから。」
「あら、おじ様。もしもお母様が一人帰るようなことになっても、
わたしはここにいさせていただきますわ。
もうずっと前から今日の日を楽しみにしていたんですもの。
お母様と縁を切ってもおじ様や敏明君とご一緒するつもりです。」
「ボクもですよ。おじ様。
ご結婚の決まった紗理奈さんはちょっと気が引けると言うか……。
潤一君、でしたっけ?
ご主人になる方に申し訳ないという気持ちもあるんですけど、
その申し訳なさも刺激的ですよね。
それとは全く別な意味で、美奈子さんとはぜひ、と思っていますし。」
「お兄様。それだけじゃないでしょ?
奥様との交わりも、楽しみだっておっしゃっていたじゃありませんか。」
「未来。おまえ、しゃべり過ぎだぞ。」
妹の手厳しい口撃に、将来はたじろいだ。
「いいじゃない。さっき、おじ様もおっしゃったわ。
秘密も隠し立ても必要ないって。」
「そういうことだよ。将来君。
わたしも、未来さんと抱き合うことを楽しみにしてきた。
君たちのお父さんは、
うちの麗子や紗理奈、美奈子とももうすでに関係を持っている。」
「ええ。聞いてます。しかもレイプだったとか。」
「おいおい。将来。人聞きの悪い言い方をするんじゃない。
あれはフェイクだ。
征爾と、美奈子ちゃんと相談のうえでの。」
「そんなこと、わかってますよ。本当のレイプだったら、
ボクも未来も犯罪者の子どもですからね。」
「今日、こうしておうちを訪ねることだってできなかったわ。」
「確かにそうだな。」