カフェへ-1
そして日曜日、お昼の1時、由紀の指定するドラッグストアの駐車場に向かう。
12時45分に到着したが、由紀はすでに待っていた。
シックな色合いのワンピースを着ている。
オバサン臭さは、まったくない。
車に由紀を乗せ、近くのカフェに入る。
お茶をしながら、いろいろ話をする。
由紀は、5年ほど闘病生活をしていた旦那を2年前に亡くし、息子2人はすでに独立して、長男は大阪に、次男は岡山に住んでいる。
それで、スーパーのレジ係をしながら、質素な生活をしているという。
安いアパート暮らしで、贅沢はできないが、1人暮らしに不自由はないようだ。
『野田さんは、お一人?』
『はい、気ままな一人暮らしです。でも、たまに人肌恋しくなったり、話し相手が欲しくなったりします。』
野田は、家庭があることを隠した。
『あ、分かります。基本、一人の生活は気楽なんだけど、たまに寂しくなる時がありますよね。』
『そうですよね、それで、思わず、更科さんに声を掛けてしまいました。』
『苗字ではなく、名前で、由紀と呼んでくださいな。』
『はい、では由紀さんで。』
思いの外、2人は話が弾む。
沈黙の時間は、ほとんどない。
『私、野田さんより10コも上だけど、気にならない?』
『気にならないですよ。』
確かに、野田と同じ年代でも、老け込んでいる女性はいくらでもいる。
少なくとも、目の前にいる由紀は、若々しいとまでは言わないが、服装もきちんとしている。
胸の膨らみも、しっかりある。
もちろん、顔のシミや皺は、どうしようもない。
ただ、体型は、それほど崩れていないように見える。
『もし、よかったら、また会ってもらえませんか?』
と、野田が言う。
『ええ、こちらこそ。私は土日が休みなので、誘ってください。』
カフェを出るとき、段差があったので、野田が由紀を支える。
背中に手を回すと、ブラジャーのホックの感触があった。
野田は、由紀を自宅まで送っていく。
『ここが私のアパートです。』
『じゃあ、今度は、ここまで迎えに来ますね。』
最初のデートは、普通にお茶をして終わった。