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恵鐘館ものがたり
【幼馴染 官能小説】

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美空と武-2

 週に4回ほど、見かけるようになり、忙しい美空も彼の事が流石に放っておけなくなりつつあった。
 そろそろ梅雨という頃になって、美空も次第にいろいろな疑念を抱くようになってきた。

(綺麗な子なのよね…どうしていつも所在なさげに公園にいるの?
 家に居づらいの…?誰とも仲良くできないの…?)



「もう…天気予報より半日も早いじゃない!」

 その日は今にも雨が降り出しそうな空模様で、美空は家路を急いでいたが、まもなくいつも通る公園というところでいよいよ雨が降り出した。
 
「せめて、あのベンチに…」
 
 何とか駆け込んだ公園内の、四角錐の屋根のあるベンチに来て、ほっと一息ついた。
 そこで、いつもの少年も同じ屋根の下で雨を避けて座っている事に気が付いた。
 
 ザーっと降り出した雨は、しばらくやみそうにない。
 彼の事も心配になった美空が視線を向けると、彼は気遣わしげな視線を返して、おずおずと声をかけてきた。
 
「あ、あの……お姉さん、こんなに濡れちゃって、寒くないですか?」
「あ、ありがと…君こそ、大丈夫?」
「僕は、雨が降り始めてすぐここに入りましたから」
「ああ、そうなのね…」

 美空は、濡れた様子の無い彼の姿を見て、ほっとした気持ちになった。



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