泊まっていく詩織-1
米原で降りた2人は、麻衣のアパートまで歩いて行く。
途中のコンビニで、弁当を買って行く。
部屋に入ると、
『ごめんね、迷惑かけて。』
と、詩織が言う。
『いいんですよ、気にしないでください。』
と、麻衣が言う。
弁当を食べて、シャワーを浴びる。
ベッドが1つしかないので、そこで2人は寝る。
パジャマはないので、麻衣のTシャツを貸そうとしたが、サイズが合わない。
麻衣はMサイズだが、詩織はLサイズである。
『大丈夫、私、下着だけで寝るから。』
と詩織が言う。
そういえば、裕哉のTシャツがある。
それを、詩織に渡す。
『大きい。これ彼氏の?』
『はい。よく泊まっていくので、ここにも服を置いてあるので。』
ベッドで横になって、2人はいろんな話をして、楽しい時間を過ごした。
『彼氏は、ここによく来るの?』
『だいたい週末になると来るか、私が向こうに行くか、どっちかですね。』
『いいなぁ、うらやましい。』
と詩織が言う。
続けて、
『私ね、大学を出てすぐに付き合った人に、酷い目に遭わされ、ちょっと男の人が怖くなっちゃって・・・』
と言う。
『男性恐怖症みたいなものですか?』
『そうかも。だから、余計アリス先生みたいな格好良い女性に、惹かれるのかもしれない。』
『暴力は当たり前、ギャンブルにはまって借金は作るし、浮気も当たり前、みたいな男だったの、それで別れようとすると、ストーカーみたいになっちゃって・・』
『その人は、今は?』
『詐欺みたいなことをして、警察に捕まった。』
『じゃあ、今は刑務所?』
『うん、でも最初は優しかったのよ、だからつい深入りしてしまって。そのせいか、優しい男を見ても、いつ豹変するか、と思うと、怖くて付き合えないの。』
詩織の隠された一面が見えたような気がする。
『でもね、性欲って、普通にあるから、、、だからと言って、相手は誰でもいいって訳でもないし。』
『うん、分かります。』
『それで、その性欲が歪んでしまって、緊縛に興味がいっちゃった・・・(笑)』
『なるほど、、、』
『アリス先生に緊縛されてるときって、そういう男性と付き合う時のような不安は一切なく、純粋に綺麗で気持ちよくなれるっていうのかな、だから、ちょっとはまりそう。』
『ねぇ、麻衣さん、ぶっちゃけ聞いちゃうけど、オナニーって、どれぐらいの頻度でする?』
『え?』
『私、ほぼ毎日しちゃうんだけど、、やっぱりおかしいかな?』
『いえ、おかしくないと思います。私は、彼と会えない時は、ほぼ毎日なので・・・』
『あっ、同士だね!』
『そうですね!』
その日は、夜遅くまで、麻衣と詩織は話し込んでしまった。
彦根在住の詩織は、家業の飲食店を手伝っている。
会社勤めではないので、ある程度、時間は自由になる。
翌朝、麻衣の出勤に合わせて、一緒に彦根まで行き、麻衣は会社へ、詩織は自宅へ戻って行った。
麻衣は、裕哉という彼氏が居て、充実している。
そして、詩織という友達も出来た。
見知らぬ土地での生活だが、恵まれているな、と思う。