テキスト・ブック-3
「なによ!少しくらいいいじゃない。」
なにやらトラブルがあったようで、警備員も困った様子で日本人の警備員が対応していた。
「なにがあったんだよ」
「あっタク、あのさあこの先の本はみれないんだって」
そうなのか?たしかにイタリア語でなにか書いてある。立ち入り禁止の意味がわかる。
「この先はだめなのです、歴代の禁書、封書の数々。私たちも、いや館長ですら立ち入りを禁じられているのです。お引き取りください」
それはあきらめるしかなかった。サヤもここは引くしかなかったようでしばらくぶちぶちいっていたが6時がちかづくとそれも忘れた。
解き放て!
「っ痛う…」
頭が痛い。
帰りのバスの中、得体のしれない痛みを抱えながら外を見ていた。
「もうすぐ広場だよん」
「…」
コロセウムが見える。
「!?」
おかしい、明かにおかしい。
コロセウムは三千年の歴史がある。ぼろぼろだ。そのはずだ! あれは建築されたそのままではないか!
広場について急いで降りる。 すべての人間がスクリーンを見ている。
「なに、あれ」
そこに映されていたのは試合でなかった。阿鼻叫喚の地獄絵図。なんだ?あの化け物は?
「キャアアアア!!」
やばかった。あれはここから十キロはなれた町だった。
なにかが起こっている。
いったいなにが?
わからない。これではまるでファンタジーだ。しかし現実だ。あのコロセウム、間違いなく復元していた。