IFP―第二章―-3
……………ちょっと、そう、ほんの10分ほど前は二人でじゃれあってたのに……本当にこれは現実なのか?
なんで灰色の道路が鈍く血の色に光っているんだ?
どうして死体が散乱しているんだ?
誰か夢だと言ってくれ………
「おぃ、いい加減にましろ。」
いつ現れたのか、慎介の首を後ろから掴ふむ少女がいた。黒のタンクトップにジーパン生地の黒い五分丈ズボンをはき、肩には蝶のタトゥーがほられていた。細い華奢な体型が全身黒に統一されて更に細く見える。サラサラのストレートヘアで少し青みがかった黒髪が血生臭い風になびく。
「慎、戻ってこい!!!!ヤツにわたすな、これはお前の体だ。」
少女が両手を慎介の肩におき、強引にゆらす。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……」
また歪みきった笑顔のまま笑いだす。
バシ!!!!!!
笑い声よりも大きい頬を叩く音が響いた。そして少女は慎介ね顏を自分の顏に近づけさして…………………キスをかましやがった。
「………………」
ゆっくり顏を離すと、びっくりしている慎介が見えた。「悪い、ありがとうな。でも、もう手遅れなんだ、俺は取引をしちまった。」
少女の目が見開かれる。
「な…なんでしちゃったんだよ、このばか!!!!!!」
「頼む。そこにいる圭を連れて逃げてくれ。そして身のふり方の面倒もみてやってくれ。」
「私は受けた依頼は完璧にこなす。知っているだろ?ずっと前から受けていたのだから、断るはずがないだろ。」
泣きそうな顏で少女が微笑む。
「ああ、知ってるさ。だから安心して取引できたんだ。……………じゃあ、あとは頼んだぞ。もう俺の精神が持たないから、今のうちに、俺が俺なうちに行ってくれ。」
「わかった。お別れだ……………」
いきなりくるっと少女が俺の方に向く。
「行くぞ。」
今まで二人のやりとりを見ていた俺は少女に引っ張られるままその場をあとにする………………わけねーだろ!!!!
「おい、待てよ。慎介おいてはいさようならってか?ざけんな、ガキ。怪我人を見捨ててさっさと逃げるなんておかしいだろ!!」
「圭!!じゃあな。キュウ、早く行ってくれ。もう………ヤ…バイ…………」
次の瞬間、どこにこの華奢な体に力があるのか、キュウと呼ばれた少女は俺を担いでその場を物凄い速さで走る。
場所は変わって地元の俺さえ知らないさびれた店の中にいる。
少女は180センチはある男一人を持ってすごい速さでかけてきたにもかかわらず、息が少しも切れていない。店の中に着いた途端少女は乱暴に俺を床に落とした。
「いって!!なにすんだよクソガキ!!!!!!」
俺は移動中、ずっと怒鳴り続けていたのでガラガラ声になってしまっていた。
少女はどこからか封筒を取り出し、俺の目の前につき出した。
「読め。文句は後で聞く。」
「……ふざけるな、何様だお前。慎介を………見捨て…………」
ドカ!!!!
「いいから読め!!!小言は後で聞く言っているだろ。」
少女は俺の顏横すれすれの壁を素手で破壊した。暫く睨みあっていたが、やがて俺は封筒のふを切り中身を読む。…………もしかして、俺って結構ビビリ君?