女らしく【08】『新入りとライバルと会議』-7
「稲荷寿司か…久しぶりだな…
……ほんとアイツにそっくりだ」
尚も呟く。
「マコト…お前は彩じゃないんだよな…
けど似てるから…惹かれたんだよな…」
その双眸は遠く戻れない過去を見ている様だった…
「あ〜!見つけた!」
甲高く、黒い喜びに満ちた声。
「げっ…犬耳!」
「死ね♪お姉様に近付く悪い狐狩りだぁああ♪」
凄まじい早さで爪が襲う。
「……とりあえず逃げるか…」
身体が青白い炎に包まれたかと思うと、既にそこにはヒトの姿は無く、あるのは駆け出した二尾の狐だった。
大和の部屋の前。かなり静かだ。
寝てるのかもな。
「大和いるか?」
「………ああ…」
大和の眠そうな声がする。
やっぱり寝てたか。
「入るぞ」
部屋の中は適度に散らかっていた。
まあ男の部屋だしな。
「傷、大丈夫か?ちょっと診せてみろよ」
顎に残る見事な打撃の痕…
撫子さんの一撃の重さを物語っている。
「うわぁ…流石、鬼の一族だな」
「姉貴は昔から手加減を知らない…まだ、頭がクラクラする……」
分かる気がするよ…
そういえば、大和…何で稲荷を嫌うんだ?
「アイツはマコトを傷つけた。アイツは謝ったけど…俺は許せない!」
胸の奥がじーんと震える。
何かうれしいなぁ…
大和がオレを心配してくれてるんだ…
そう思うと心がすごく暖かくなる。
「でも、怪我はオレも悪かったし…いきなり縛り上げたから…」
そんなに悪い奴じゃねぇよ?
「……何でそんなに稲荷の肩を持つんだ?」
そうか?別にそういうつもりじゃないんだけど…
「…やっぱり稲荷の方が頼りになるのか?」
沈んだ一言。
…もしかして、大和…嫉妬してる?
だとしたら、大和はオレを少しは意識してるってことだよな!
それなら♪