な-6
「誰か紹介してよ!」
ため息をつきながらそう言うけど
「俺が?無理!」
そもそも!
社内では無理だって分かってる。
私より年上のいい男たちはみんな既婚者だし
年下の男たちはすでに主任の役職がついた私に遠慮しそう・・・
「結婚って思い通りに行かないものよね」
「全くな」
よく言うわ。
可愛い専業主婦の奥さんと休みは銀座のくせに。
「梅雨も明けたし、明日エノスイいかねぇ?」
「エノスイ?」
「あぁ、足伸ばそうぜ」
エノスイって江の島水族館?
「安西、一昨日クラゲに癒されたいって言ってたじゃん?」
よく覚えてるな。
「エノスイのクラゲ、見に行こうぜ」
良いけどさ?良いけど・・・
「あんた土日の両方でかけて平気なの?」
「ん?この週末仕事入れてねーよ?」
いや、仕事じゃなくてさ。
仕事じゃなくて・・・
「まさか、お前明日海外と会議入れてんの?」
入れてないけどさ。
どんだけ私のコト仕事中毒だと思ってんのよ。
「入れてない」
「じゃぁ、行こうぜ。何時に待ち合わせる?」
行かない。
その一言は、飲みこんだ―――