リサ・クリスティー-3
義人とカノン、リサの三人は
リサのボイストレーニングに
出掛けていた。
リサとスタジオで別れ
義人とカノンは
リサ・クリスティの
アーティストデータを持って
テレビ局の担当にPR活動を進める。
リサの本アバターのデータを
テレビ局に知らせる事で
ダミーアバターの効力を
上げるためでもあった。
しかし、他にも問題はあった。
ネットニュースと
ネット雑誌の記者たちの存在だ。
彼らは画像情報を
さほど信用していない。
常に「すっぱ抜く」事だけを
考えている人達だからだ。
他にもパパラッチのような
隠密活動をしている輩もいる。
お昼前にレッスンスタジオに
戻ってくると
カノンが大きなため息をつく。
「はぁーーー!」
「どうしたんだ!?
ため息なんてついて
「義人……テレビ局は
何とかなっても
ネット記者は誤魔化せなくない?」
「そうだな…室長に相談するか」
昼食前に広報室長に
相談してみるが
ダミーアバターにしたから
大丈夫だろうとの返答だった。
カノン:
「何よ!あのハゲ親父!
まともに話しも聞いてくれない!」
義人:
「おいおい、禿げては無いだろう?
そもそもアバターだし」
カノン:
「いいえ!絶対あのおっさん
リアルでは禿げてる!
もう!リサもそう思わない?」
リサ:
「ふふふ、別にどっちでも
良くないかしら?」
義人:
「午後からは
ダンスレッスンだったな」
リサ:
「そうね、義人
午後からもよろしくね」
カノン:
「ねえ?義人?
なんかいい方法ない?
このまま三人でスタジオに行けば
絶対に記者たちに
気づかれるわよね?」
義人:
「そうだな…ちょっと考えてみる」
三人はランチのため
一旦ログアウトする。
義人は自室で少し考え
母親のいるダイニングへと
降りていく。
ダイニングでは母親が昼食の
準備をしてくれていた。
「あら義人、お疲れ様♪
お仕事は順調なの?」
「うん、それが今
ちょっと問題があって」
「そうなの?
そんな時はお父さんに相談するのよ」
「そうだよね…それしかないよな…
父さんはまだ北海道なの?」
「そうね…
まだ北海道じゃないかしら?
今ならお昼ご飯時だから
連絡つくかも」
「うん、ちょっと連絡してみるよ」
義人は自室に戻り
父親に連絡する。
「どうした?義人
珍しく連絡してきて…
マネージャーの仕事は
上手くいってるのか?」
「それが
記者の対策についてなんだけど…」
義人は社長である父親に
これまでの事を説明する。
「ふむ、なるほど
そうだな、ネット記者の動きは
注意しなければならないな……
このシステムの事もそうだが
まだ表舞台には出してはならない
解った!その件については
父さんに任せなさい!
すぐに手を打っておく」
「え!?何か出来るの?」
「父さんは社長だぞ!
そんな事、朝飯前だ」
「そうか……ありがとう父さん」
昼食を済ませ
会社のコミュニティに戻ってくる。
そして総務課長に三人とも
呼び出される。
総務課長:
「えー皆に集まって貰ったのは
社長命令で社内に
レッスンスタジオを設けて
今後はそこで
レッスンする事になった」
カノン:
「ええ!?本当ですか!?」
課長:
「外のスタジオを
出入りするのは危険だとの仰せだ」
カノン:
「やったー!これで記者から
リサを守れる♪」
課長:
「それから……
社内にレッスンスタジオが
完成するまで
三人に休暇を与えるようにとの事だ」
カノン:
「え!?本当ですか?
やったー!すごい!
それでスタジオが完成するのは
いつ頃ですか?」
課長:
「そうだな…急な事だから
三日、四日は掛かるだろう」
カノン:
「それまで休みですか?」
課長:
「ああ!そうだ!活動が始まれば
休みは取れなくなるからな
今のうちに休ませろとの事だ…」
カノン:
「室長……ほらね?
私達の言ってた事
社長も解ってましたね?」
室長:
「そうだね……」
カノン:
「義人!リサ!
これからどうする?」
義人:
「どうするって
どういう事だよ?」
カノン:
「午後から三日間休みだよ?
フリーだよ?
何処か行かない?」
リサ:
「ふふふ、カノンは切り替えが
早いわね」
義人:
「フリーって言っても
リサを連れ回すのは
危険じゃないか?」
カノン:
「大丈夫よ!スタジオとか歌手が
出入りしそうな所に行かなければ
普通の友達にしか見えないって!」
義人:
「確かにそうだけど」
カノン:
「じゃー決まり!リサもいいよね?」
リサ:
「ええ、私は構わないわ」
カノン:
「やったー!じゃあ遊園地に行こう!」
義人:
「また人の多い所に」
リサ:
「ふふふ、楽しそうね♪」