フィル-2
『熱い…。』
男の隠茎が私の秘部を捕えた時、私は秘部に熱を感じた。
「お前が欲しくて、熱くなってるんだ。」
男はそう言うと、ゆっくり腰を進めた。
『……うっ。』
男が腰を進めるにつれ、私の体には強い痛みが走った。
「痛いか?」
『…大…丈夫だ。』
男はゆっくりと注挿を始める。
私も次第に痛みの中に埋もれていた快感を見付けだし、その快感が確かなものになるにつれ、あえぎ、求め、そして快感に溺れた。
これが女になるという事……。
その瞬間、私が今まで気付こうともしなかった明るい世界が、心の中に広がった様な気がした。
「フィルディアナか…。呼びずらいとは思わないか??」
服を着けた男が言った。
『昔は只のフィルだった…。そんな名前、捨ててしまいたい。』
私は男の問いに答えた。事実、私の本来の名はフィル。だが私が王女となった時、古くからこの国に祭られていた女神の名を取り、父がフィルディアナと改めたのだった。
『教えて欲しい。そなた達がこの国を独裁から解放した時、民達は飢える事なく、幸せに暮らせるだろうか?』
「あぁ、石油資源に恵まれた国だ。良き指導者さえいれば、豊かな国に発展するだろう。」
男は穏やかな表情で言った。
『良き指導者か…。そなたがこの国を導くのであれば、この国も安泰だろう。』
私は心からそう思っていた。
「それは出来ない。」
だが男からは予想に反する答えが返ってきた。
「俺達は、独裁政治によって苦しむ世界中の国を救いたいんだ。この国の解放が済み、新たな指導者をたてた後は、また次の国へ旅立つ。それが俺達のやり方だ。」
まるで、今回の解放が初めてでは無いと言う様な言い方だった。
『一体…そなた達は何者なのだ?』
「俺達は独裁政治によって苦しむ国で、その独裁と戦う人達の手助けをするんだ。そして、この国での戦いはもう直ぐ終わる。」
男の言うように解放が実現するからには、軍や政、様々な所で父は力を失っているのだろう。
『そうか。では私や父の命も、後わずかと言う事だろう…。』
「またそうやって命を投げ出すのか?!」
男が怒ったように言った。私はそんな男に微笑みかけた。
『この国では、独裁者の娘である私を許せる者ばかりではあるまい??私がどう思おうと、変わらぬ事はあるだろう。』
「なら俺はそれを許さない!」
私は男の優しさを感じていた。
『ありがとう。今宵は本当にいい夜だった。そなたと話せて、本当に嬉しかった。』
男はきっと、本心で私を案じてくれているのだろう。それに、私を王女としてではなく、一人の女として扱ってくれた事が嬉しかった。
男は黙って私を見据えた。
『もうじき朝がくる。朝になれば、そなたがこの城から出るのが難しくなろう。そうなる前に……。』
この国の解放の為、ここで男が捕まる訳にはいかない。
「フィルディアナ、よく聞け。俺の名はハル。次の夜、この城にはお前の父の命を奪おうとする解放軍や俺の仲間達が押し寄せる。そして、未だ国王の力が及んでいる秘密警察達とは激しい戦闘になるだろう。」
『そうか。出来る事なら、父と私以外の血は見たくないものだ。』
私は言った。
「お前は必ず、その戦闘が始まる前にこの城から逃げ出すんだ。いいな?!」
私は男に、曖昧な返事を返した。
そして夜明けが目前に迫った頃、男は城を後にした。