10 めぐみと後藤と(一)-1
後藤は、慶太に、「振ることを恐れるな、きれいな別れなどない。」と言っていた。
「一時的に落ち込むだろうが、女ってのは現金なもので、次の男が出来れば、簡単に思い出に変わっちまうもんだ。」
後藤は達観したように慶太に話す。
後藤の話を聞いて、慶太は、決意した。
復讐のために、めぐみと別れようと・・・。
後藤になら任せられる。
そう思えたのだ。
その週の金曜日、慶太はめぐみに、後藤を紹介した。
後藤を連れてくることは、前日に伝えていた。
紳士的じぇんとるまんな後藤のエスコートに、めぐみも、満更ではないようだった。
後藤とめぐみは、LINEを交換していた。
「後藤さんて、良い人ね。」
「本当に良い奴なんだよ。彼女居ないらしいんだ。」
「嘘ぉ、そんな風には見えなかったな。」
「そうなんだ。」
「今日はごめんな。来週は二人で会おうな。」
そう言って電話を切った。
慶太は、後藤に連絡をする。
「来週、別れ話を切り出してみる。フォローよろしく。」
「任せてくれ。」
一週間後、慶太は、めぐみといつものカフェで、待ち合わせた。
「待った?」
「さっき来たところだよ。」
めぐみは、グァテマラを頼んだ。
「あのさ、めぐみ。聞いて欲しい事があるんだ。」
「うん・・・」
「俺さ、これから敦士にお仕置きしなきゃならないんだよね。」
「うん。」
「たくさんめぐみを辛い目に会わせることになるし、いっぱいめぐみを裏切るかもしれない。」
「うん・・・」
「で、本当に辛いんだけどね。めぐみの幸せを考えたら、ここで別れる事が、めぐみにしてやれる、最後の愛情だと思うんだ。ごめんな。」
「敦士くんにお仕置きするのは、そんなにしないといけない事なの?」
「うん。あいつが、自分の婚約者以外の女を物扱いして、しかも、友人の彼女を奪い取るなんて間違ってると誰かが教えないといけないと思うんだ。」
「そうなんだ・・・慶太の馬鹿!」
めぐみは、俺に水をかけて店を出て行った。
俺はタオルで顔を拭きながら、後藤に連絡を取った。
LINE
慶太「めぐみと別れた。あとは頼むよ。」
朗「了解。連絡入れて見るよ。」
4月下旬に、慶太は、めぐみと別れ、いよいよ復讐へと動きだす。