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【学園物 恋愛小説】

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想[5]-3

「…っ。ぅ〜…っく、…っふぅ…」
私の涙が枕を濡らしていく。
ごめん、ごめん、暁寿。暁寿の言う通り、私…名屋君のことばっか考えてた…。目が合った体育祭、話し掛けられた放課後、傘を貸してくれた雨の日…その全てが、たった今目の前で起きているかのようにはっきりと思い出せる。空気も香りも色も、鮮やかに…。その時の気持ちもときめきも、名屋君の無愛想な顔も…。喋り方も、声も、風邪引くぞって怒ってくれたことも…彼女がいると分かったときの絶望感も…全部。
なのに暁寿は優しくて、こんな私を心から心配してくれて、笑ってくれて、絶対に私を怒らないで…そんなの、私みたいな奴には勿体ない。
私みたいな自分の想いすら分からない優柔不断で最低な女には…。
暁寿は私を愛してくれたのに、私も暁寿だけだと思ってたのに、暁寿しか見えない、暁寿にしか恋をしないって決めてたのに…私は…私は…。


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