ある復員兵の夏-5
「そ、そんな乱暴に、しないで……も、もう少し、優しく……うっ、うぅん!」
目の前で淫らな嬌声をあげるのは、もう一度共に歩んでくれる伴侶だったはずの、女。
「あ? ガキに見られたくないっていうからわざわざこんなとこで抱いてやってんだろうが。がたがた文句ぬかすな」
男は乱暴な言葉を吐くと、さらに昂ったような動きで激しく腰を突き上げ、ざらついた舌を圭子の細くしなやかな首へと伸ばした。
「何ならこのまま外に出て、帰ってくるガキに見せつけてやろうか? ん?」
男の一言に、圭子の顔色がさっと青ざめる。
「そ、そんな。お、お願いですからどうか、あの子には……隆男には……」
自らを貪る太い腕にすがりつくと、健気な母の表情で必死に哀願の言葉を吐いた。
「へ、分かってるよ。ガキの前ではちゃんと父親面しておいてやるさ。とりあえずはな」
ぞんざいに言い放つと、男は右手を胸から離して圭子の陰部をまさぐり始めた。
「ん、んんっ!」
正一のいる場所からはっきり見ることはできないが、おそらく陰核を弄んでいるのだろう。圭子の顎が何度も切なげに跳ねる。
「それにしても、お前のここは本当にいい具合いだな。まとわりつくように吸い付いてきて、何回やっても全然飽きがこねーや」
ぐちゅぐちゅとかき回すように膣内の感触を味わいながら、男はさらに抽送を早め、同時に幾度となく圭子のうなじを舐め回した。
「ん、あ、あぁっ……」
がっちり固定された身体を、それでも悩ましくよじらせながら、圭子は顔を火照らせ甲高い雌の鳴き声をあげる。
「ほら、そろそろだぞっ!」
男が叫ぶと、
「ん、あ、んんっ、あ、ああぁっ!」
圭子もそれに合わせるように喘ぎ声を高めた。
「ふんっ!」
ほどなく男の身体がびくん、びくんと二度ほど大きく震え、
「あ、あぁ、あああぁぁぁーーーっ!」
圭子は屋根の一点を見上げたまま、蕩けた顔で全身を固く強張らせた。
「な、中……あいつ、中に……」
妻が犯される現場の一部始終を目撃した正一がやっとのことで呟いたのは、そんな一言。
妻の中に、見知らぬ男の精が大量に吐き出された。
その受け入れがたい事実に、正一は顔面を真っ白にしたまま、思考能力を根こそぎ奪われたようにぼんやりと立ち尽くしてしまう。
「ふぅ……」
男は満足そうに一物を抜くと、藁の敷かれた床に圭子の身体をどさりと放り捨てた。
「う……う、ぅ……」
スカートがめくれた状態でうつ伏せになった圭子が陸に打ち上げられた魚のようにぴくぴく全身を震わせると、がに股気味に開いた脚の付け根から膣の奥に入り損ねた精の滴がどろりと垂れ落ちてくる。