乱れ柳-8
情事はベッドに腰掛けての接吻から始まった。軽いキスからディープキスへと移り、澪の気分が高まったところで、
「ああ、思い出しました」
黒井がつぶやき、立ち上がって隣室へ。そして、水の入ったコップとカプセルの入った容器を持って戻ってきた。
「性感が高まるサプリメントを用意しました。前回よりも燃えますよ。飲んでみませんか?」
黒井の言葉に少しためらう。カプセルの容器に書かれた文字は英文で、危険薬物かもしれないと思ったからだ。しかし黒井は、
「大丈夫です。怪しいドラッグではありません。単に、集中力が増し感覚が鋭くなるサプリです。勉強の前とかにも飲むものですよ」
と説明した。
「それじゃあ……」
やや大きめの白いカプセルをひとつ口に含み、水で流し込む。すぐに身体が火照るとか、動悸が激しくなるとか、そんなことはなかった。
「今夜は泊まっていけるのでしたよね?」
黒井の確認に澪がうなずくと、相手はおもむろに着ているものを脱ぎ始め、澪にも裸になるよう勧めた。
全裸になった黒井の股間に、先日味わった異形のペニスがぶら下がっていた。いったんエレクトし、交わると、女を狂わせずにおかない極上のペニス……。
澪は自らひざまずき、男根に手を伸ばす。
『今宵、他の誰のものでもない。私だけのペニス』
心に浮かんだゼミ生娘にあかんべえをし、口唇愛撫を始める。
巨大な亀頭を口に含み、舌で転がすと、それは徐々に体積を増してくる。口をすぼめて顔を前後にスライドさせると、肉竿が張りを帯びてくる。
今夜の澪のフェラチオはえげつなかった。ズボボッという音をたててペニスを吸い込み、舌を大きく使って魔羅全体を舐めあげた。果ては、陰嚢をもくわえこみ、バホッと吸っては離し、吸っては離し、それを繰り返した。
どこか、心の箍(たが)が外れたような澪だった。たっぷりと時間をかけて口唇愛撫を施すと、ペニスは雄々しくそそり立ち、微かに湯気が立ち上っているように見えた。
『とっても美味しそう……』
澪は舌なめずりする。
しかし、すぐにこのご馳走にありつけるわけではなかった。本番の前に、「前戯という名のレクチャー」を、黒井教授からみっちり受ける必要があったのだ。
今夜はまず、ベッドに横たわり、全身を舐め回された。
手の指をくわえられ、首を舐められ、耳をしゃぶられ、一転してつま先にキスされ、すね、太ももと舌を這わされ、陰部を素通りしてヘソに舌を差し込まれ、乳房を口一杯に含まれ、乳首を甘噛みされ、そしてようやく女陰に口づけされ、割れ目を舌でくすぐられ、膣口を強く吸引され、最後にクリトリスを舌先で転がされた。とてもしつこく。
この間、澪は遠慮なく嬌声を上げていた。陰核を愛撫されている時は、
「あひっ!」
悶絶してクリイキすること都合三回。そして「もっとぉ」とおねだりして四度目のクリイキを果たしたところで、前戯の第一部は幕となった。
この時点で澪の身体にはうっすらと汗が滲んでいた。しかし、黒井が飲ませた「性感が高まるサプリメント」の効果はどうなのだろう。クリトリスで何度も鋭くイッたが、いつも以上に感じる……というわけでもない。
『まあ、あとから効いてくるんでしょ』
あまりあてにせず、澪は前戯の第二部を楽しむことにした。
今度は指によるヴァギナへの愛撫だった。
陰唇をつままれ、クリトリスを小指で軽く弾かれ、潜り込んできた中指でGスポットを刺激され、さらに、その中指がピンッと伸びて子宮口付近をくすぐられた。
澪は思いっきりあえぎ、身をくねらせた。
「んああああっ!」
Gスポット刺激では軽く潮を吹き、子宮口愛撫では微かなポルチオエクスタシーを得た。
この段階で澪は全身が火照り、乳首とクリトリスが競い合うように勃起し、膣口からは愛液がたっぷりと溢れていた。
淫乱が毛先にまでも転移する
もう、澪はセックスがしたくてうずうずしていた。
女体が完全に熟したのを察した黒井は、満を持して澪の切望する言葉を吐いた。
「じゃあ、そろそろ、しようか」
澪が熱い瞳でうなずく。
「だが、その前に……」
黒井はやや張力を失ったペニスを澪にしゃぶらせ、「完成形」にさせてから、おもむろにセックスへとなだれ込んだ。まずはオーソドックスな正常位で。
すっかり潤んで開花していた女陰は、松茸もかくやとばかりの超雁高亀頭が触れたのを感じ、熱くざわめく。グッと張り出したエラが膣口をこれでもかと押し広げる。黒井の挿入はじつにスローモー。
「んんっ!」
澪は苦悶三割・愉悦七割の表情。膣口が目一杯になった瞬間、黒井の腰のわずかな動きで、化け物亀頭はズルッと埋没する。
「んあああっ!」
突然生じた快感に澪はのけぞる。
『入っただけなのに……』
澪の両腕が早くも黒井の背中へ回る。
黒井がペニスの出し入れをゆったりと開始すると、さっそく澪はもだえる。圧倒的な存在の亀頭、その摩擦係数が高すぎて、たちまちアクメ寸前にまで追い込まれる。
『や、やっぱり凄いこのチンポ。……夫のものが並品だとしたら、これはもう、特A!』
これが女の本音だった。規格外の亀頭が生み出す快感は、さながら練乳をじかに舐める甘さに匹敵する。とにかく濃厚&激甘なのだ。
「ああああっ、……いや……、もう……、もう…………、うあああっ!」
黒井の腰振りが1ダースに満たぬうちに、澪は絶頂に達した。
白い腰がビクンッ、ビクンッと跳ね上がる。異性の身体を乗せているので跳ね方は鈍いが、その重しがなければ、トムソンガゼルの躍動感があったかもしれない。