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嘘吐きなボク
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愛すべきコイツ-1

軽薄そうな男ほど純情な訳で
ボクの友達、鳳来香月[ホウライカヅキ]の場合は特にそう

恋多き男
惚れ薬自己精製男
全て彼のあだ名だ

そして、本人が知らない別の呼び方もある

フラれ屋

哀しい男だ

なんでボクがこんな男と友達なのか?
よく聞かれる
確かにコイツは頭悪いし、惚れっぽい

でも、それ以上に良い所がある



「優サ〜ン!またフラれたー!ちょっと胸触っただけなのに!」



良い所がある……………かなぁ……

―一年前―

「痛い………」
しくじった
騙した相手に刺されるとは
やばいな……血が止まらない
ボク
死ぬかな

全部諦めて目を閉じた瞬間、変な歌が聞こえた

「アメアメ降れ降れもっと降れー
可愛いあの娘と帰れるよ〜♪
へへ……」
折れた傘を握り締め、奇妙な歌を歌う
そんな登場をした彼は、ボクを見た後少し固まり、二秒ほど凝視した
そして

「運命の出会いキタコレ!」
そう叫んだ

その声を聞いた途端に意識が薄くなった
意識を完全に失う前、大丈夫ですか?お嬢さん
なんて言葉が聞こえた

目が覚めた
白い物が見える
恐らく天井だろう
そして、匂いから察するにここは病院
先ほどの奇妙な歌の彼が連絡したのだろう
全く
「余計な事を……」

「何が〜?」
不意に隣りから声がした
先ほどの彼だ

「ずっといたの?」
だとしたら余程の酔狂だ
血だらけの人間を見れば普通は、驚き逃げるだろう
病院に連絡したとしても、付き添う事などしないはずだ

「うんそう、ずっと居たの」しかし、彼は当然のように答える

「なんで?」
酔狂なのか?

「だって、心配じゃん
血だらけの人
だから」
うん
なるほど酔狂だ

「そうか」

「そうだ」

うん
なるほど
面白い人間だ
清い心の持ち主なのだろう


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