女らしく【05】『彼女とお淑やかと変貌』-7
「奏!博士!これは…」
「訳は後デス!ある理由からマコトは今、霊力が暴走中デス!」
「暴走中って何だ!暴走中って!」
「漫画なんかで追い詰められた主人公が土壇場で強くなるのと一緒デース!暗示が強くかかり過ぎマシタカ…」
「何じゃそりゃあ〜!………」
「どうしたんですの!」
「ハハ…目の錯覚かな…ベッドが動いてる……」
「大和!聞いてマスカ?今のマコトを止める方法がアリマース!」
「早く言えよ!!」
飛んで来る文房具を叩き落としながら大和が尋ねる。
「マコトを抱き締めて…………って言いなサーイ!解除ワードなんデス!」
しばしの間固まる。
「…ふ、ふざけんな!」
「本当にこの方法しかないんデース!早くしないとマコトも危険デース!」
「……ああ!もう、マコト!」
大和が傷だらけになりながら私に近寄って来る。
大和…本気で怒ってるんだ…
ごめんなさい大和…ごめん……
嫌いにならないで…
ギュウゥッ!
えっ…何?
自分の頭を大和の胸の辺りに押さえつけられている。
「マコト…」
大和が…私を抱き締めてる…
「お前を愛してる!俺も怒って悪かった…ごめん…」
大和…
…ごめんなさい…
大和……
私は泣きながら、まどろみの中へ落ちていった…
…ううん……此所は…
「気付いたか?」
起きると大和に抱き締められていた!
ボフン!
何かが爆発した。
「や、大和!オレは……アレ…口調が…」
催眠…解けたんだ…
「良かった…いつものマコトだ…」
心の底からほっとしてるようだ。
「コレ…オレがやったんだよな…」
改めてみる部屋の悲惨さ…
壁には穴がたくさん空いているし、そこらじゅうにペンやらなんやらが散乱している。
「本当にごめん……」
奏達にも迷惑をかけちまった…
「いいえ。悪いのはそそのかした博士ですわ…博士、片付けよろしく♪」
「Yes.sir……」
傷だらけの博士が弱々しく返事をする。